小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「明日でもいいことは明日やればいい」という考え方
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「今日のことは今日中に済ませる」
「先延ばしせずに今やる」
こういう行動を悪く思う人は、あまりいないはずです。どちらかと言えば、私も「できることはすぐやる」という意識が強いので、物事をできるだけ先延ばししないようにと、常々思って行動しています。
ただ、ある先輩から「明日でもいいことは明日にすればいいんだよ」と言われ、その理由を聞くほどにちょっと考えてしまうことがありました。
その先輩が言うには、「今日やらなくても大丈夫なことは、もしかすると明日もやらなくて大丈夫かもしれないし、明後日もそうかもしれない。そのまま放っておいたら結局はやらずに済むことかもしれない。そんなことを今日急いでやるなんて無駄だろう?」とのことです。
こう言われて、はじめは何となく怠けているようなイメージを持ってしまいましたが、先輩は続けて「何でも急いですぐやっていては、実際にはどうでもいい無駄なことがたくさん混じってくるので、それを見極めて本当に大事なことに時間を使おうとしたら、明日でもいいことは明日に延ばしていくことも必要だよ」と言いました。
実はこの先輩も、かつては「今日のことは今日のうちに済ます」を実践していたそうですが、ある時に体調を崩して、しばらくの間療養しなければならなくなり、それまで手掛けていたすべてのことを、いったん先延ばしせざるを得なくなってしまったそうです。
ただ、そうなってしまった結果として、自分が本当に困ったり、誰かにどうしようもない迷惑をかけたりしたことは、全体の2割あったかどうかだったそうです。
そこで、今までいかに多くの時間をどうでもいいことに使っていたのかと考えるようになり、「明日でもいいことは明日やればいい」と思うようになったといいます。
考えてみれば、これはまさに「緊急性と重要性」の話です。
「今日のことは今日のうちに済ます」は、常に緊急性を重視しているということで、これを美徳と決めてそればかりに偏っていると、本来やるべき重要なことを後回しにしている可能性があります。
実際に仕事をしていれば、「緊急で重要でないこと」も「重要で緊急でないこと」も、どちらも並行して取り組まなければなりませんが、意識していないと「緊急で重要でないこと」に振り回されてしまうのが、有名な“七つの習慣”で出てくる話です。
「重要で緊急でないこと」に取り組むには、そのことに費やす時間を意識的に作り出さなければなりません。そのためには、「今日のことは今日のうちに済ます」ばかりではいけないのです。
この先輩のお話から、自分も実はできていない重要なことがあったのではないかと反省しているところです。
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