小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「あえて「正社員」が良い働き方なのかを考える」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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あえて「正社員」が良い働き方なのかを考える

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2019-05-21 08:00

 あるテレビ番組で、若い女性に「理想の彼氏像」をインタビューしていて、ある人の答えが「正社員であること」でした。

 

 このところ、人手不足の状況が恒常化しつつあり、パートやアルバイトについては時給の高騰が起こっています。また、様々な業種や職種で、契約社員や非正規社員を正社員化する動きが起こっています。正社員化の促進を視野に入れた法改正もおこなわれました。

 

 それぞれは、「正社員での安定した雇用が望ましい」と考えられた上でのことで、そう捉える人たちが大勢いるということです。

 たまたま就職氷河期などに当たってしまい、思うような仕事に就く機会を得られなかったり、低い労働条件での非正規雇用に押し込められたり、そこから挽回のチャンスが得られなかった人たちにとって、将来への希望が持てるという意味では、決して悪い話ではないと思います。

 

 一方、私のような自営業者から見ると、正社員であることには、いろいろなデメリットがあると感じることがあります。

 あくまで個人的な事情も含めた偏りがありますが、あえて「正社員のデメリット」を考えてみました。

 

 まず、すでに50代半ばの私が、仮に正社員として就職したとすると、働けるのは定年までで、再雇用などを考えてもあと10年程度です。それ以降も働きたいと考えると、新たに職を探すか、自分で事業をするしかありません。

 現在は事業主ですが、就職するとなると兼業は許されない会社がほとんどですから、今の事業からは離れることになります。そんな起業経験がある私でも、定年になってから再度独立するようなことは、過去の顧客はすでに失っていますし、体力的なことを考えても難しいと思います。

 就職活動も、同じくパワーを要するでしょうし、思い通りにならないことの方が多いでしょう。

 つまり、正社員になることによって、結果的に仕事ができる期間が制約されることになるのです。

 

 報酬の面で考えると、正社員は決められた給与という最低保証がありますが、そこから増えていく余地は、何らかの評価を得ることや出世が必要です。よほどの歩合給のような制度でない限り、給与の急減はない代わりに急増もありません。

 自営業は確かに不安定で、1円も売上がないという事態もあり得ますが、一方で正社員では絶対得られない金額を得ることもあります。収入がなくなるリスクも、反対に急増するチャンスもありますが、これを不安定と取るか、やりがいと取るかは人ぞれぞれです。

 

 また、正社員は、仕事や上司を選ぶことができません。多少の相談はできても、希望通りになる保証はありません。思い通りにするためには、組織の中で相応の権限を持つまでに出世しなければなりません。もしも相性の悪い上司に当たってしまったら、不当に低い評価をされて、左遷されるかもしれません。

 

 さらに、正社員であっても、リストラなどで職を失う可能性はあります。そういうことはだいたい突発的に起こるものですが、正社員の立場では心の準備がない人も多く、その中では、かなり過酷な状況に陥ってしまいます。

 

 このように、安定しているということが実は制約という面があり、不安定ということが実は可能性につながるという面があります。

 

 今の正社員化を進める流れに水を差すつもりはありませんし、起業や独立をあおるつもりもありません。ただ、少しだけ見方を変えると、こんな感じ方もあるということです。

 いずれにしても、多くの人がイキイキと働けることが一番望ましいことで、それが実現されていくことで、景気循環も良くなり、経済が活性化していきます。

 

 正規か非正規か、雇用か自営か、フルタイムかパートタイムかなどということにとらわれず、より多くの人が好ましいと思う働き方ができれば、それが最も良いことだろうと思います。

 


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