小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「使い方次第で薬にも毒にもなる「部下→上司評価」」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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使い方次第で薬にも毒にもなる「部下→上司評価」

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2018-09-18 08:00

 少し前のことですが、あるテレビの取材で、「部下→上司評価」に関するコメントを求められました。

 

 そもそもの題材は、茨城県のある町が、町長の発案で部下が上司を評価する「新たな勤務評定」を取り入れたということでした。

 「進行管理力」「折衝調整力・対応力」「指導統率力」「責任性」「協調性」の項目を5段階で評価し、記名で封筒に入れてのり付けし、所属長に提出するとのことです。結果は町長のみが見ることができ、人事異動や昇給・昇格の参考資料として活用されるそうです。

 

 導入の目的は、「行政サービスの向上」とのことで、町長によると、行政に対する苦情、不満が多かったということで、「管理職に緊張感を持って仕事をしてもらうのが狙い」「職員同士のコミュニケーションも活性化させて、行政サービスの質を高めていきたい」とのことでした。

 

 「部下→上司評価」や「360度評価」と呼ばれる制度は、ある調査によると、大企業での導入が25%を超えるなど、最近はわりと一般的になっています。

 

 そのメリットとして、

・結果のフィードバックで上司の自己認識が高まるなど、上司の能力開発につながる。

・様々な人から多面的に評価されることで客観性が得られる。

・部下とのコミュニケーションが活性化する。

などがいわれ、逆にデメリットでは、

・評価に不慣れな部下から、評価基準のバラつきや印象評価など客観性のない評価がされる。

・苦手な上司を追い出すような懲罰的評価がされる。

・嫌われたくない意識から、上司が部下となれあいになる。

などがあります。

 

 実際に導入している企業でも、処遇決定に直接使うようなところはほとんどなく、多くの場合は上司の能力開発を補完するような活用をしています。比較的マイルドな使い方が多いといえるでしょう。

 

 なぜかというと、このような制度は、実施目的や組織風土、誰が誰を評価するか、結果を何に使うかといった運用方法によって、制度のメリット、デメリットが極端に出やすいということがあるからです。

 例えば、メリットとデメリットの両方に「評価の客観性」に関するものがありますが、導入する環境や条件によって、まったく正反対の結果になる可能性があります。

 

 今回の例でいくつか見ていくと、まず「組織風土」として、自治体等の行政組織は、年次へのこだわりが比較的強い傾向があるので、下の者から評価されることへの抵抗感が、民間企業より強い可能性があります。この制度で抵抗感が強まるかもしれないですし、反対にその意識を壊すことができるかもしれません。

 

 次に、実施目的が「不満や苦情が多かった行政サービスの向上」ということをみると、何か具体的な問題があったと思われ、町長の本音まではわかりませんが、多少懲罰的であったり、危機感を植え付けたいというイメージを持っている感じがします。これをきっかけに、危機感から自発的な取り組みがされるようになるかもしれないですし、反対に現場が萎縮してしまうかもしれません。

 

 さらに「運用方法」では「記名式」ということですが、上司に見られては本音で評価しない懸念があるとして、「封筒のりづけで町長のみ閲覧」とし、その活用は「異動、昇級昇格の参考にする」ということです。この活用方法にはブラックボックスの部分も多く、現場の萎縮や疑心暗鬼を生む懸念がありますが、個別の上司・部下間の問題については、何か情報が得られるかもしれません。

 

 このように、「部下→上司評価」や「360度評価」のような制度は、使い方次第で薬にも毒にもなります。

 そもそもの導入目的を見据え、導入後の関係者の反応を見ながら、柔軟な対応が必要だと思います。

 

 

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