小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「中小企業でもなってしまう「大企業病」の理由」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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中小企業でもなってしまう「大企業病」の理由

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2018-05-29 08:00

 「大企業病」という言葉は、誰でも聞いたことがあると思います。


 その定義としては、「組織が大きくなることで内部の意思疎通が不十分となり、官僚主義、セクショナリズム、事なかれ主義、縦割り主義など、組織の非活性をもたらす事象が蔓延すること」とされています。社員は不要な仕事を作り出したり、細分化された仕事だけをこなすようになる傾向があると言われます。


 ただ、「大企業病」とは言われるものの、これは大企業だけに限ったことではありません。


 ある会社で見かけた光景ですが、部門間で共同の取り組みをする必要がある業務が、まったく手つかずのままで抜け落ちていたことがありました。

 事情を聴くと、それぞれの部署の担当者は、お互いに相手の部門が取り組むものと思っており、自分がやるべきこととは全く思っていなかったようです。その業務があること自体は覚えていたようですが、その状況確認や役割分担などのコミュニケーションは、一切取っていませんでした。

 コミュニケーション不足とセクショナリズムで、細分化して自分に与えられた定常業務だけをこなしていたということで、まさに「大企業病」の定義そのままです。


 また、別のある会社では、顧客からの営業関連の問い合わせを事務担当者が受け、これを営業部門に確認しようとしたところ、事務担当者と数人の営業担当の間で、こんなやり取りがされていました。

「その件は、自分が担当じゃないからわからないなぁ」

「それって誰が担当だっけ?」

「確か○○さん?」

「いや、××さんだよ」

「××さんなら、今は外出中だから回答できないね」

「担当が戻ったら連絡するって伝えてくれる?」

というような具合です。


 やはり、コミュニケーション不足、自分が直接関わっていることしか把握していないという一種のセクショナリズム、さらに、関係ないことには関わりたくないという事なかれ主義が感じられます。これも「大企業病」の定義に当てはまっています。


 そして、これが起こっていた会社の規模は、それぞれ社員が30~40名ほどの、社員全員が顔見知りのような会社です。社員同士でちょっと話せば、コミュニケーション不足などは起こり得ない規模の会社です。

 「大企業病」の原因は、必ずしも組織が大きいからではないということの証明でしょう。


 私が現場を見ている中で思う「大企業病」の根本原因は、人任せの無責任がまかり通る雰囲気、風土があるからです。「誰かがやるだろう」と人任せにして、もしもそれが抜け落ちていた時のことは考えていないという社員が、多く存在するようになってしまった組織です。


 そうなってしまう理由には、いろいろな事が複合的に考えられます。そもそも社員のモラルが低い、責任感がない、マネジメントが弱い、コミュニケーションや情報共有の仕組みがない、その他にもいろいろあるでしょう。それを一言で言ってしまえば、悪い意味で「緩んだ組織」ということになるのかもしれません。


 組織や人事の課題というのは、こういうたぐいのことが多いですが、原因が複合的であるということは、何か一つを直したからといって、すぐに解決するとか、全体が劇的に変わるといったことはあり得ないということです。


 今の経営にはスピードが大事と言われますし、すぐに解決したいという気持ちはわかりますが、こういう課題には、地道で継続的な対応が必要だろうと思います。


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