小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「最近は「分かち合い型リーダー」が増えている?」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
ユニティ・サポート 代表
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最近は「分かち合い型リーダー」が増えている?

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2015-07-07 08:00

 特に最近、リーダー育成を重要テーマに掲げる企業が増えており、私自身は講師として、それを目的とした研修やセッションなどを行う機会があります。

 

 この時の参加者に対して、私は必ず「自分がなりたいリーダー像」ということを質問しています。自分の上司や先輩を具体的なモデルとしている方、カリスマ経営者や歴史上の偉人の言葉をモットーにしている方、逆に何も思い描いていない方、自分はリーダー適性がないと言ってあまり前向きではない方など、いろいろな方がいらっしゃいます。

 

 そういう中で感じるのは、ご自身のリーダーシップスタイルについて、「合議型」「民主的」「フラットな関係」「話しやすい雰囲気」といったことを重視する人が増えているということです。チーム内での「分かち合い」を大切にするような価値観です。

 

 最近は体育会系の部活動でも、かつての封建的な上下関係からはずいぶん変わり、フラットな上下関係になってきているといいますから、世の中全体の流れとしてもそういうことなのでしょう。

 

 私も、必要以上の封建的な上下関係は、組織のコミュニケーション不良を起こし、上司の間違いを修正できず、部下は他責傾向でやる気を無くしていくなど、組織の生産性を下げてしまうだけなので、全く好ましいことではないと思っています。

 ですから、この「分かち合い型リーダー」は、総論としては良い方向だと思うのですが、その中で少し気になる点もあります。

 

 「分かち合い型リーダー」を志向する人は、その反面で「自分で引っ張っていく」という意識が希薄な場合があります。チームを構成しているメンバーが、みんな自律と自己判断ができる人たちならば、それでも問題ありませんが、そんな恵まれたチーム体制ばかりとは限りません。

 

 自律不足、経験不足のチームの場合、「分かち合い型リーダー」は、メンバーたちをレベルアップさせるというより、自分がメンバーたちのレベルに降りて行こうとする傾向があります。メンバーたちと同レベルの仕事を分担し、同じように現場業務に関わろうとします。

 

 何か決めなければならないことが出てくると、メンバーを集めて「どうしようか?」と相談し、メンバーの意見を尊重して決定します。“意見を尊重して”というと聞こえは良いですが、実際には“メンバーたちが不満を持たないように”ということが判断基準になりがちです。

 

 リーダーとメンバーの人間関係は良好ですが、結果としてメンバーたちの仕事上のレベルアップにはあまりつながりません。リーダー自身も現場の一作業者として活動していることが多いので、チームマネジメントの能力はあまり身に付きません。

 

 業績が順調な場合は、これでも大きな問題にはなりませんが、目標達成が厳しいような状況になってくると、とたんにリーダー不在という形で問題が噴出してきます。

 何か対策を考えようとしても、リーダーが旗を立てて方向づけることができないので、結局は「みんなでそれぞれ頑張ろう!」程度の話にしかなりません。

 

 「分かち合い型リーダー」で一番問題なのは、リーダーがメンバーとの距離を縮めるために、自分自身がレベルを下げて、メンバーたちの中へ降りていってしまうということではないかと思います。

 もちろん、同じ目線で考えるという姿勢は必要ですが、逆にメンバーたちをリーダーの目線に引き上げることの方が重要ではないかと思います。

 

 リーダー業務の一部をメンバーにも権限委譲してやらせること、上のレベルの仕事を経験させることが大事になりますが、リーダーが現場の業務を分担してしまうのは、逆にメンバーたちが本来やるべき仕事や、それを経験する機会を奪ってしまっているということになります。

 

 「分かち合い型リーダー」の価値観を持ち、なおかつメンバーたちのレベルアップに意識が向けられるようになれば、組織のリーダー像として望ましいことなのではないかと思います。

 

 

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