小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「教える側の忍耐や覚悟が不足している」という話
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少し前になりますが、ウェブに掲載されていた「坂田ジュニアゴルフ塾」塾長の坂田信弘氏のインタビュー記事の中に、「人を指導するには目標を持つこと、夢を持つこと、希望を持つことが大事であり、それには忍耐や覚悟が必要だが、最近それが希薄になっていると感じる」という話が出ていました。
指導する側にはどこかで献身や忍耐が必要になるが、それがないと、例えば学校であれば、教わる側の子どもたちは「この先生は自分のことを信じてくれていないな」「この先生を信じていいのかな」と疑問を持つようになるのだそうです。
特に子どもは賢いので、自分たちを教える人がどこまで自分たちに責任を持っているのかという、大人の心の中をすぐに見抜いてしまうのだそうです。
これと同じような傾向は、企業の人材育成の中でも感じます。目先の業績を優先する傾向や、それに関連して教える側の余裕がないせいもありますが、人材に対する見切りが早いような気がします。少し教えただけなのに、ちょっと反応が悪いと「こいつは使えない」と投げ出したりします。
こういう私自身も、若い頃は見切りが早い傾向があったと反省しています。その当時は、ある程度様子を見ていれば、その人の先行きの到達点はだいたいわかると思っていて、それによって彼はできるとかできないとか、早い段階から決めつけていたように思います。
やっぱり若い頃の方が気は短いですし、その後徐々に経験を積むとともに、許容範囲を広げていけたように思います。
人材育成においては、もちろん教わる本人が努力することは大前提ですが、昔の徒弟制度のように「見て覚えろ」などというのは、企業の人材育成としては効率が悪いですし、無責任とも言えます。
変化のスピードが速い中で目先に利益ばかりを追いかけると、どうしても答えを早く求めがちになります。しかし、人材育成には相応の時間が必要で、これをおろそかにすると、結局自社の業績にマイナスとなってはね返ってきます。
坂田さんの言葉から思うのは、やはり教わる側と教える側との間に信頼関係が無ければ、人は育たないということです。
今までの自分の経験を振り返ってみて、指導した相手の中には思った以上に伸びた人もいますし、残念ながら期待したレベルには届かなかった人もいます。ただ、否定せずに根気よく向き合った相手ほど、信頼関係を築くことができていたと思いますし、その方が伸びていく確率は高かったと思います。
人を育てるには相手との信頼関係が必要で、その信頼関係を保つためには、教える側の覚悟、責任、そして忍耐が、とても大事になるのだと思います。
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