小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「いつもいてくれないと困る?」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
ユニティ・サポート 代表
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いつもいてくれないと困る?

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2014-07-15 08:00

 私が企業人事のご支援をするという際は、社外人材としてある限られた時間の範囲内、または決められた生産物の請負という形でお手伝いをします。ですからよほどの専任契約でない限りは、いつもその場にいて、顧客がすぐに声を掛けられる状態で仕事をするということはほとんどありません。

 限られた時間の中で、最大限のパフォーマンスを出すことが、私たちの役目だと思っています。


 ただ、ある会社にうかがった時に、その担当の方から「いつもいてくれる人じゃないと、あまり意味がないし困るんだよなぁ・・・」と言われたことがあります。

 その会社は、パートのような時間限定の社員は一人もおらず、しいていえば、育児休業明けの社員に法律最低限の短時間勤務を認めている程度です。


 私は単純に、パートタイマー的な人材を使い慣れていないから、そんな話が出てくるのだろうと思ったのですが、少し意識して観察してみると、どうもそれだけではありません。


 まず、その会社は、全社的に結構な長時間労働で、とても残業が多い環境でした。その一番の理由は、とにかくやたらと会議や打ち合わせが多いということです。

 また、それがきちんと予定された定例的なものだけでなく、「AくんとBさん、ちょっといいかな」という感じで、主に上司から呼び止められ、予定外の打ち合わせが急に始まります。そしてそれが当たり前のように2時間3時間と続きます。


 各自が予定していた仕事は当然進まず、みんな残業になっていきます。また、その残業時間であっても、「ちょっといいかな」と打ち合わせが始まったりします。

 あまりはっきりとした議題がある会議ではなく、とりあえず打ち合わせをしようという感じが強いようです。


 何か要件を思いついた時に、すぐに打ち合わせができるようにしておくためには、「いつもいてくれないと困る」という訳です。はっきり言って、あまりにも行き当たりばったりで作業効率が悪いと感じます。


 もう一点、その会社では、お互いがやっている仕事に関する情報共有があまりありませんでした。人は人、自分は自分で、個別に作業を進めています。マネージャーにもあまり情報共有の意識はなく、それぞれがやっている仕事は、非常に属人的な形で進んで行きます。

 何かあるとその担当者がいなければ周りの人は何もわからないので、やっぱり「いつもいてくれないと困る」となります。


 今どきの人気企業や好業績企業は、こういう作業スタイルを最も非効率と考えて問題視していますが、この会社は世の中の方向とは正反対を行っている訳です。業務改善の突っ込みどころ満載ですが、実際に働いている皆さんは、何も言わずにこの状況に従っています。不満に思っているけど言えないのか、それとも何とも思っていないのかはわかりません。


 こういう会社は、実はまだまだ多いのではないかと思います。働き方の意識を変えるには、経営者や管理者に、その意識があるかどうかが大きな要素ですが、大体においては古い意識のまま根づいてしまっています。おかしいと思う人がいたとしても、そう簡単には変えられません。


 この状況は、やはり好ましくないことです、作業の効率化や情報共有を進めていって、「いつもいてくれないと困る」という意識から抜け出さないと、今の時代からはどんどん遅れて行ってしまうように思います。


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