対象:ペットの医療・健康
専門家のご意見をお聞かせ頂きたいです。9歳のマルチーズ・雌・3.8?です。去年から左の胸にシコリがあったのですが、今年になりそれが2.5cm程になりましたので、今のうちに切っておいた方がこの先歳がいってから手術となるとリスクも高くなると思い、先生も乳腺腫瘍の手術は開腹とは違い簡単な手術との事でしたので決断しました。
術前の血液検査で肝臓の数値が高かったので当日まで薬を飲ますことに。当日肺に転移してないかのレントゲン検査で転移はしてませんでしたが、心臓が少し肥大している。でも加齢によるものだろう、9歳になるとあれやこれやでてきます。との事で手術決行。その日の夜、迎えにいくもどうも様子がおかしい。お腹をべこべこさせながら苦しそうに息をしておりました。看護士さんは「痛いからだ」と言っており、痛み止めと鎮静剤入りの注射を一本打ち家に連れ帰りました。(この状態で連れて帰っても大丈夫かとの問いには、この子泣くんですよ。ここより家の方がいいと思います。との事)ですが、家に帰るも状態はますます悪く、這うようにしてハウスに入り口を開け荒々しく息をし見るからに苦しそうでした。その後すぐ泣き叫びながらのたうち回りそれが1時間ぐらい続き後は朝までぐったりとし、フラフラになり椅子にぶつかりながらトイレに歩いていきそこで倒れました。
病院にすぐに連れていき預けて家で待機することに。夜に様子を見に行った時は立ってながらも意識が朦朧とした状態。血液検査の結果、肝臓の数値が跳ね上がっている・心不全・循環器不全との事。引き続き預かると言われましたがその6時間後夜中に電話があり急いでいくと人工呼吸器がつけられかろうじて心臓が動いてる状態。その後20分後に心臓停止。呼吸器を抜いた時ピンク色の水が喉から出てました。これは明らかに心臓肥大がありながら麻酔をかけたことが原因じゃないでしょうか?考えられる原因をお聞かせ下さい。
makotorinさん ( 京都府 / 女性 / 33歳 )
回答:2件
乳腺腫瘍摘出後すぐに死亡した原因
まず、お亡くなりになられましたワンちゃんの、ご冥福をお祈りいたします。
この度のケースにつきましては、当院を含め全ての動物病院で起こりがちなことであり、とても考えさせられることが沢山ありました。
まず、ご質問にはっきりお答えしにくいのは、与えられましたデータが少ないことです。 つまり、術中、術後でどのようなことが起こっていったのかを、正確に把握する材料が少なくて、沢山の可能性が上がってきて、絞りきれないのです。
●●先生がご指摘なさっていますように、心肥大と言うのは病名ではなくて、X線検査の画像から指摘できる現象の名前です。 ですから、どの部位(右心なのか、左心なのか)が、どれくらい肥大していたのかで、病気は全く変わってきます。 また、心臓が大きく見えた特、中の心筋はどうなっていたのか、拡張型(心筋がぺらぺらになってしまう)に大きくなってしまったのか、肥大型(心筋が分厚くなってしまう)に大きくなってしまったのかで、手術の適応も違ってきます。 また、ご承知のように、ワンちゃんは、弁にトラブルがあって、心臓が大きくなってしまうこともあります。 要は、心臓が十分な血液を体の各部に送り出せているかが、重要です。
術後、お迎えに行かれたとき、お腹をぺこぺこさせながら呼吸をしていたとの記述がありますが、先生がおっしゃるように、術後疼痛でそういう呼吸になってしまうことも、十分考えられますし、その時から、循環不全が起こり始めていたのかもしれまん。でも残念ながら、この時点でのX線検査結果がありませんので、あくまで可能性の指摘ということになります。
補足
飼い主の方が、心疾患について、獣医学的に正しい知識がないのは、当たり前のことです。 ですから、私達獣医師は、心肥大を見つけた場合、飼い主さんに説明をするために、その病因を突き止める必要があるのです。
また、執刀医は、全てを知った上で、手術GOの決定をしたわけですから、術後に発生した問題について、飼い主の方に、術中、術後のプロセスについて、自分の考えを説明しなければいけません。 その中から、いつ、どこに問題があったのか、 それは現在の獣医学的常識では回避できないものであったのか、それとも病院の過失であったのかなどが浮き出されてきます。
その上で、飼い主の方の悲しみに対して、どのように行動するのかが、執刀医の資質として問われるのだと思います。
お問い合わせの長崎のayaoriさんの件に関しましては、わたしも、連絡法がわかりません。 メールアドレスも何も分かりません。 私の情報は、ご質問の方にはすべて公開されていますが、逆に回答者から、ご質問者の情報は知らされていません。
allaboutの管理会社にお問い合わせになられれば、なんらかの方法があるかも知れません。
評価・お礼
makotorinさん
井上先生、ご回答下さりありがとうございます。
レントゲン結果で、心肥大が見つかったにも関わらずそのまま手術を行ったということは、その先生の今までの経験上、「これぐらいの肥大なら大丈夫」という思いがあったんだと思います。ですが、実際はその心臓の肥大が今回の最悪の結果を招く大きな原因になったことも事実です。勿論こちらの心疾患への無知さもあります。でも私たちは素人です。やはり専門家である先生がこういう場合の麻酔に関するリスクの説明をしていただいてたらと思うと悔しくてしかたありません。先生にとっては何千匹の内の一匹にすぎない、今後こういう症例を踏まえてという程度かもしれませんが私たちにとっては宝でした。その後の日常生活は一変しました。
井上先生のおっしゃる通り、術中・術後のリンの様子・リンの体に何が起こっていたのか手紙を送るつもりです。
また、この場をお借りして2009.04.28 に投稿されました長崎のayaoriさんに申し上げたいことがございます。
このサイトでayaoriさんの投稿を拝見し、うちとほとんど全く同じ状況でワンちゃんを亡くされたこと、心からお悔やみ申し上げます。老いる姿を見てきたわけでもなく、手術直前までは全く元気だったという状況下でのこのような結果、やりきれない気持ちが痛い程わかります。大事な家族を亡くしてしまった悲しみよりも自責の念の方が大きく現実を受け入れられないでいます。
何らかの方法でayaoriさんと是非連絡をとりたいと思うのですが可能でしょうか?
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RE:乳腺腫瘍摘出後すぐに死亡した原因について
考えられる死亡原因については、実際のレントゲン写真や血液検査のデータを見てみないとはっきりしたことを申し上げるのは難しいです。心臓に関しても少し肥大しているというだけでは、心臓の評価は難しいです。心臓の評価には、身体検査での聴診、レントゲン検査、エコー検査などが重要となります。レントゲン上で多少の肥大があっても機能的に問題がなければ、手術を行うことはできます。泣き叫びながらのたうち回っていたのであれば痛みが原因の可能性もあります。肝臓の数値が高くフラフラしていたのであれば、肝性脳症や低血糖なども考えられます。ピンク色の水が喉から出てきたのであれば、肺水腫の可能性もあります。心臓肥大は、疾患の診断名ではありませんのでなぜ心臓が肥大しているのかを検査してもよかったと思いますが、それが原因かどうかは判断するのは難しいです。
評価・お礼
makotorinさん
●●先生、ご回答下さり誠にありがとうございます。
先生のご回答を素人の私なりにまとめますと、もともと僧帽弁閉鎖不全症(心臓弁膜症)あるいは肥大型心筋症による心臓肥大を起こしており、そこへ麻酔という急激なストレスによりその病状が悪化し、肺水腫(点滴も原因のひとつか?)をひきおこし、さらには肝性脳症・低血糖も合併しフラフラと貧血状態になったということではないか。のたうち回って泣き叫んでいた原因としては、僧帽弁閉鎖不全症(あるいは肥大型心筋症)であるにもかかわらず麻酔や痛み止め・鎮静剤などの強い刺激が負担となり左心房の破裂を引き起こしていたのではないか。このような結果にならない為に、心臓肥大がレントゲン検査でわかった時点でもっとほりさげて超音波検査をするべきだったのではないかと考えます。そして何よりも私たち飼い主が手術に対しもっと慎重になるべきだったと今では後悔と自責の念でいっぱいです。
少しはリンの術後の苦しみの原因がわかったような気がします。本当にありがとうございました。
(現在のポイント:-pt)
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