対象:特許・商標・著作権
回答数: 2件
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回答数: 1件
はじめまして。いくつかの携帯電話向けサイトを運営している企業で総務全般を担当しております。
ご相談差し上げたいのは、サイト名やコンテンツ名の商標登録についてです。
弊社は携帯電話向けにいわゆる一般サイトを開設し、広告モデルのビジネスを展開しており、
合計で100万人程度の会員(基本的に無料)を抱えています。
比較的早期(5年ほど前)からサービスを開始したこともあり、
ターゲットとする若年層には一定の認知を得ているものと考えております。
ところが昨今、新規参入企業が急速に増加し競争が激化する中で
弊社サイトの名称と類似する名称を持つサービスが散見されるようになってきました。
大抵の場合、サイトの見た目や中身についても似たようなつくりになっているため
ユーザーが弊社サービスとそれらのサービスを混同する恐れを抱いております。
相手方が、必ずしも意図的であるかどうかは判然としない部分もありますが、
弊社が、これまで培ってきたものにタダ乗りされるのは、心情的に気分が悪いだけでなく
ユーザー数の減少による金銭的な損害についても危惧を深めております。
そこで弊社の運営する携帯電話向けサイトの名称を、商標登録することを検討しているのですが、
以前、サービス名称の類は、商標法だけでなく不正競争防止法でも保護され得る、との話を聞いたことがあります。
商標法の保護を受けるためには登録が必要で、その為には相応の対価と期間が必要との認識でおりますが、
不正競争防止法の保護は、どのような条件下で得られるものなのでしょうか?
恐らく商標登録が、安全で適切な方法であるとは思いますが、
不正競争防止法の保護を期待するだけでは不十分な点などを、ご教示いただければ幸いです。
何卒宜しくお願いいたします。
Zaraさん ( 東京都 / 男性 / 28歳 )
回答:3件
ご質問に対する返答
不正競争防止法による保護と、商標法による保護とは、共に、差止請求、損害賠償請求できるという点で共通します。
商標法の場合、商標権という国家が与える権利による保護が為され、しかも、半永久的に権利を有することも可能であるので、保護の効力が相対的には強いと思います。端的に言えば、同一又は類似の商標を他人が使用することを防止できます。
不正競争防止法の場合、条文に掲げる不正行為に該当さえすれば保護が受けられますが、マークが著名である等の要件が必要であるので、この点ではハードルが高いと思います。
なお、商標、不正競争意外にも保護手法はあります。弊所宛てにご連絡くだされば、ご説明したいと思います。
評価・お礼
Zaraさん
沢田様、ご回答ありがとうございます。なるほど…。ご指摘の件ですが、「サイト名やコンテンツ名」を保護したいというのが今回の趣旨です。「サイトの見た目や中身」についてもできれば保護したいとは思いますが、保護に値するだけのオリジナル性があるかについては、あまり自信がありません。今回については、やはり商標登録という方向でしょうか。沢田様のサイトで他の方が似たようなこと(サイト名の商標登録)について質問されているのを拝見しました。コストやフローについても概ね理解できましたので、主に費用面について社内で検討させていただこうと思います。この度はご丁寧に対応いただき、誠にありがとうございました。重ねて御礼申し上げます。
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商標登録と不正競争防止法について
Zara様
ご質問の内容検討させていただきました。
質問は、
(1)不正競争防止法の保護を受けるための要件、
(2)不正競争防止法の保護では不充分な点、
ということになると思います。
(1)不正競争防止法の保護を受けるための要件
商標法と対比して特徴的に以下の3点が要件となります。
?まず、商品等表示が需用者の間に広く認識されていること、または著名であること、またはサービスの質の誤認を生じさせる表示であることを、Zara様の側で立証する必要があります。
?相手方に、故意または過失があったことをZara様側で立証する必要があります。
?特に商標登録を受けずとも名称などを使用しているだけでも保護を受けることができます。
(2)不正競争防止法の保護では不充分な点
?商標法では、サービスを表示するための名称が周知・著名でなくとも、商標法による保護を受けることができます。
?商標法では、Zara様側で、相手側に過失があったことを立証する必要はなく、逆に相手側が無過失であったことを立証しなければならない、「立証責任の転換」というメリットが受けられます。
?商標登録を受けなければ、商標権による保護が受けられないこと。また、商標登録出願を行ったからといって必ずしも商標権が付与される訳ではないこと(例えば、広告サービスを行うためのサービス名称を「広告サービス」とした場合、当該名称の商標登録はできないことが多い、とお考え下さい。)
以上、(1)、(2)として不正競争防止法と商標法との相違について、一方でのメリットが他方のデメリットになっているという趣旨で説明させていただきました。弁理士としては商標登録をお勧めしますが、上記(2)で説明したようにデメリットもありますので、使用されているサービス名称が商標登録できるかどうかについて、弁理士と相談されるのがよろしいと思います。
補足
ご評価いただき、ありがとうございました。なお、前回の回答に追加して、サービス名称の保護についての戦略をコメントさせていただきます。
現在の状況下で判断すれば、商標登録されるまで、または商標登録ができなかった場合には不正競争防止法での保護、商標登録された場合には、商標権での保護という段階的な戦略を立案され、商標登録の行く末が判明するまでに、サービス名称の著名性・周知性を固めておくことが効果な保護を受けるため有用ではないか、と思います。
評価・お礼
Zaraさん
間山様、御礼が遅くなりまして申し訳ございません。ご丁寧なご回答誠にありがとうございました。私の拙い質問を大変すっきりとまとめていただいた上に、分かりやすくご解説いただき、状況が良く分かりました。ご提案いただきましたように、現在は商標登録の方向で社内調整を行っております。途中分からないことがでてきましたら、弁理士の先生方を頼ってみようと思います。ありがとうございました。
回答専門家
- 間山 進也
- (弁理士)
- 特許業務法人エム・アイ・ピー 代表弁理士
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ご質問に対する回答
(1)まず、保護が十分か、不十分かは、どのような保護をお望みかによります。
仮に例えば、携帯電話の広告業務に限定して、それで差し止め・損害賠償ができれば十分とお考えであれば、商標登録が「一般的には」妥当かと思われます。
何が妥当かは、状況、貴殿の望む保護の内容、によります。
(2)さて、不正競争防止法の不正競争は、種々要件はありますが、大雑把に言って商標登録と大きく異なる点は、周知・著名であることを自分で立証する必要がある点です。この立証にどれだけ、「コストと時間」がかかるか、を慎重に判断する必要があります。
抽象的な回答で申し訳ございませんが、結局の所、保護として何をどの程度お望みか? どれだけお金と時間をかけるおつもりか? 等に依存するかと思われます。
(3)ところで、質問によれば、今現に侵害?が行われているようですね。すると、現時点から商標登録をしても、その商標登録の効力が相手方に及ばない場合があるかもしれませんね。その辺りも、自分の実施時期、相手の実施時期等を、具体的にして、専門家にご相談すべきかと存じます。ケースバイケースで種々の場合が想定されますので、一度専門家にご相談することをお薦め致します。
☆
話はそれますが、当所の依頼人の例をお話ししましょう。
当所の依頼人の場合は、保護が十分かどうかを気にする人は実はほとんどおりません。逆に言えば、自分の業務範囲だけ保護できればそれで十分だと控えめに考えておられるようです。それよりも、むしろ圧倒的に低コストをお望みの方が多いので、もっぱら商標登録を行っております。
特に、中小企業様の場合、周知・著名であることを裁判で立証するのにコストがかかるのをいやがる方が非常に多いです。したがって、もっぱら商標登録ということになります。
評価・お礼
Zaraさん
伊藤様、示唆に富んだご回答ありがとうございました。お恥ずかしながら(3)についてはあまり深く考えておりませんでしたので、はっとしました。現在も含めた過去のことと、これからの対策については分けて考える必要がありそうですね。また周知・著名であることを立証するためのコストについての考え方、何より他の中小事業者の実態について知ることができて、大変参考になりました。やはり検索サイトなどを使って自分で調べるだけでは限界がありますね…。それを痛感しました。重ね重ね御礼申し上げます。ありがとうございました。
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Zaraさん
費用面でのメリットについて
2007/08/17 14:32沢田様、早速のご回答誠にありがとうございます。やはり不正競争防止法上の保護を受けるためには、それなりにハードルは高いのですね…。多少の費用は覚悟して、商標登録の道を検討しようかとも思うのですが、商標でも不正競争防止法でもない、第三の道を取った場合、商標登録に比べて費用面でのメリットがあるのでしょうか?フォームからの再質問という形で恐縮ではございますが、ご返答を頂戴できれば幸いです。宜しくお願いいたします。
Zaraさん (東京都/28歳/男性)
(現在のポイント:2pt)
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