対象:ペットの医療・健康
乳腺腫瘍の自壊について
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はじめましてアレス動物病院の沖田と申します。
さて、麻酔に耐えうる状態かどうかは、やはり実際診察してみないとなんともというところですので、ご質問された1,2についてお答えさせていただきます。
1.自壊によって直接寿命が、ということはないかもしれませんが、自壊を起こせば自虐しないよう、生涯エリザベスカラーが必須になるかと思われますので、生活はかなり不自由になると思います(放置すると舐めたりかじったりして悪化させてしまいますので)。
また抗生剤を飲んでいても地面に接地する以上は床ずれ、炎症は避けられず、出血を繰り返し、化膿は薬だけでコントロールするのはおそらく困難ですので、やはり貧血と免疫力低下がじりじりと進んでいき、いずれは限界が来てしまうと思います。
そういう意味では自壊で寿命が短くといえなくもないです。
2.同様に自壊の瞬間ショック死、などということはないでしょうが、これを原因に敗血症を起こしたり、あるいは貧血で衰弱死に至ったりという可能性はあるかと思います。
文章を拝見した限りでは、時間が経てば手術のリスクが低くなるというタイミングはおそらくなく、時間とともにより心不全は進行し、より手術のリスクは高くなっていくと思います。
また遠からず自壊は避けて通れないのではないかと思われます。
今手術のリスクが高いのでやらないが、自壊したら手術をというのは、おそらくより高い手術のリスクが待っているだけであり、今でさえ手が出せないものを数ヵ月後にというのは現実問題としては無理があるかと思います。
極論かもしれませんが、
1今やるか
2一生やらずに手術なしで行けるところまで行くか
の2択ではないかと思われます。
どちらの路線でいくかは主治医の先生ともよくよく相談されて、とは思いますが、1日家族間でじっくり話し合い、1か2の路線を決めたら、後はそれを徹底するというのが良いのかもしれません。
途中で路線変更をすると、中途半端な結果となり、より大きな迷惑をワンちゃんにかけてしまうのかもしれません。
難しい決断ですが、大切なワンちゃんのため、一度家族での話し合いの場を持ってあげてはいかがでしょう。
評価・お礼

ミルとリン さん
2011/03/04 09:26
沖田先生
早速のご回答ありがとうございました。
自壊をおこした時用に人間の生理用布ナプキンを何枚か用意してあります。でも知らない間にそれが取れ自分で舐めたり噛んだりという可能性も先生がおっしゃるようにあるかと思います。
そうなった際の自壊腫瘍部分の経過もよく理解できました。
先生のおっしゃる1も2もどちらにしてもリスクは大きく負担も大きい選択になり話し合っても決めかねる選択ですがそれしかないことも承知しております。
私たち家族が納得いく決断がミルにとっていいのかどうか、沖田先生のご回答を参考に再検討いたしたいと思います。本当にありがとうございました。
回答専門家

- 沖田 将人
- ( 富山県 / 獣医 )
- アレス動物医療センター センター長
地域に密着したワンランク上のホームドクターを
アレス(Alles)とはドイツ語で「あらゆること」を意味します。インフォームドコンセントの充実、年中無休、CTスキャナ導入など動物たちの幸せにつながることなら、飼い主様のあらゆる要望にお応えしたい。そんな願いを込めて診療に取り組んでいます。
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この回答の相談
今年の5月で推定15歳になる女の子です。
2009年後半頃から左胸に乳腺腫瘍が出来ておりました。ですが同年5月に同じく乳腺腫瘍で手術したマルチーズ9歳の子を術後まもなく亡くしておりまし… [続きを読む]
ミルとリンさん (京都府/35歳/女性)
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