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不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴‐【20:電柱・標識などの設置予定箇所】

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物件購入の落とし穴 不動産購入トラブル

不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴

不確定な契約条件の注意点/電柱・標識などの設置予定箇所

  

前回は、敷地の前に電柱や標識が実際にある場合に限らず、

売主の分譲計画で、物件前に移設・新設される可能性にも

注意が必要なことをお話ししました。

 

しかし、中には売主やその仲介(販売活動)を行っている

不動産業者に、電柱や標識が駐車(建物プラン)の障害と

なっていることを分かっていながら、注意喚起していない

場合も多く在あります。

 

今回は、その実際にあった話と、それらのリスクをヘッジする

対処法の解説です。

 

まず、特に注意したいものは土地のみの物件と、未完成の物件。

 

実際に建物がないことから、建物プランと現況にある電柱などがおこす

障害の程度がイメージしづらいところに注意です。

 

古家(引渡までに解体予定)が乗っている場合も、同じことが言えます。

 

次に、現況では物件の間口内に障害物がない場合でも、

分譲計画に移設や新設予定がないかどうかです。

 

新設箇所に本地前が検討されていれば、現在あるものとして

建物プランは考えて行かなくてはなりません。

 

 

また、具体的な位置は決まっていなくても、新設などを行う

可能性の有無、新設予定箇所が変更される可能性を確認して、

それらがあれば注意が必要となります。

 

これらの注意事項は売主がわざわざ言ってくれることはありません。

仲介業者の多くも、「土地だけの売買をしただけ」というスタンスで、

建物プランへの配慮まではされていない、または業者や担当者自身が

気付けないでいることが多いです。

 

 

 

画像の販売図面と現地写真は、実際にあった物件の例です。

 

敷地延長と言われる旗竿型の土地です。

売主はまだ住んでいる為、家屋や植栽もあります。

 

 これが売却を依頼された宅建業者を誤解させていました。

 

 

分譲地は電柱や標識の横にある門柱からが、土地の間口と思い、

区割りを考えて販売活動をしていました。

 

しかし調査をしてみると、実際の物件間口は4m近くも横にズレています。

購入を検討していたB区画の間口内ど真ん中に、電柱1本と標識2本が

スッポリ入ってしまいます。

 

これで駐車スペース2台分とのうたい文句で販売活動をしてしまっています。

 

このことを売主側の仲介業者に問い合わせてみると、電柱と標識は現況のまま、

移設や撤去は購入者自身の責任と負担でお願いしますとのこと。

 

この物件は郊外で、近くの駅といっても数kmあります。

近くにコンビニやスーパーもなく、とても車なしでは生活が大変な環境です。

 

ちなみに、この時の移設や撤去については、電柱は東京電力、

標識は種類により異なり、一方通行は警察署、通学路は区役所を通して保護者関係と、

3つの相手先との交渉になりました。

 

電柱は、電柱間の間隔や下にある雨水管など技術的に、

一方通行はカーブである立地の見やすい位置からの移設が妥当かどうか、

通学路は相手先が保護者で、しかも間に区役所をいれての交渉、

また、それぞれに道路や隣接地所有者の承諾関係が絡み、非常に大変なものです。

 

2つが移設・撤去できても1本残ってしまえば意味がありませんし、

3つの移設・撤去にかかった費用もそれなりに高いものでした。

 

この時は何とか全ての電柱標識が、移設・撤去できたので駐車スペースの

利用もできていますが、これらの交渉や技術的な問題が、毎回クリアできる

とは限りません。

 

売主側は交渉に失敗すれば、売り物として駐車スペースの確保できない土地と

確定して、販売活動にも支障となるからか、消極的で、出てくる言葉は

「現況有姿で・・・」「購入者の方で・・・」「うちは土地のみを売るだけでして・・・」

となってしまいます。

 

購入者自身の責任で注意し、気付いていかなくてはならないということです。

  

注意が必要な場合とは、

 

物件が・・・

・土地(古家付き含む)のみの売買

・未完成物件の場合

・分譲計画が具体的でない物件

では、そのまま流さずにしっかり現況を確認する。

 

契約内容に・・・

・「現況有姿(現状あるがままを売るだけ)での引渡しとなります。」

・「●●がある場合がありますが、買主は異議なく承諾します。」

・「●●になった場合は、買主の責任と負担となります。」

 

となっている契約では、予定している状況に変更が生じた際の

 

不具合度を検討したり、契約条件の調整や交渉を考える。

 

 

 

リスクヘッジの方法は、

 

・「建物プランと現況にある電柱や標識の障害物の位置を、照合して判断する。」

・「売主が移設や新設を検討している場合、その予定箇所と建物プランを照合して判断する。」

・「障害物の移設や新設の可能性(新設予定箇所の変更含む)がある場合、建物プランを

照合して、設置されたら困る最低限の範囲を検証し、その範囲にだけは設置しない旨の

契約条件付加を交渉する。」

・「既に障害物があり、駐車等ができない場合、その移設や撤去を誰の責任と負担で

行うか、また移設や撤去が出来ない場合、契約の扱い(契約は有効、白紙解約など)

をどうするか確認し、購入判断は行う。」

・「障害物の移設や撤去が出来ない時でも、契約は有効である場合、不便の度合いや

資産価値の目減り、駐車場を借りた際の料金の負担、また撤去等の費用が自己

負担の場合に必要となる金額、それらの費用負担が生じた際の影響など、

資金計画への無理が生じないか考慮して購入判断をする。」

などです。

 

現地の確認や契約内容は、自身の目的達成(希望プランでの建築、土地利用など)の為に、

その障害となるリスク(障害物の有無、障害物の設置予定等)をヘッジした

条件付加など、交渉していくことも大切になってきます。

 

電柱以外の障害物に関するコラムと、電柱などが無い場合にも起きる問題については、

過去のコラムを参照して下さい。

 

 

2】間口に障害物

http://profile.ne.jp/w/c-64003/

4】電柱がない

http://profile.ne.jp/w/c-65920/

 

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株式会社アドキャスト 代表取締役

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