不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴
【不確定な契約条件の注意点/角地緩和(建蔽率10%アップ)が使えない角地⑦】
今回も、建蔽率の角地緩和が利用できない実例です。
画像をご覧下さい。
公図の赤い枠取りが本地(売買対象地)です。
前面道路は私道で、所有者はどこかの会社です。
本地の写真、南側道路と東側道路の写真と合わせて、
現況(L字型側溝)と土地境界(財産境界)の位置関係も
概略図にしておきます。
難しいポイントなので、緩和が受けられないかもしれない原因が
なかなか理解しづらいと思いますが、下記のコラムを読み直して
参考にして下さい。
http://profile.ne.jp/w/c-96647/
この物件の角地緩和が適用できない原因の解説ですが、まず、両前面道路とも
2項道路なので、セットバック(道路中心から2mづつの後退)が必要となります。
また、2項道路ということは南側・東側道路どちらも幅員6m未満の道路なので、
隅切り(長さ2メートルの底辺をもつ二等辺三角形)が必要となります。
セットバックは建築基準法によるもので、その敷地後退ラインは建築基準法による
道路ラインとなり、セットバックラインが本地内まで及べば、敷地内に
道路負担部分が生じるということです。
今回は、セットバックラインと本地部分は、ほぼ同じ位置になります。
注意が必要なのは隅切り部分です。
隅切り部分は建築基準法でなく、建築安全条例(東京都の場合)に基づいて
行っているので、セットバックと同じように道路形状にしても、
建築基準法の道路部分とはされません。
ケース①の、赤色の範囲がセットバック(建築基準法による道路形状)部分、
青色の範囲が隅切り(安全条例による道路形状)部分となり、三角形の底辺部分は
売買対象地の境界ラインですが、建築基準法上の道路に接していないことになり、
単なる二方向の道路に接しているだけの土地となっています。
今回の物件がこのケース①にあたりますが、この場合、角地緩和は受けられません。
このような、建築基準法の道路ラインに対して所有権がない為に
角地緩和が受けなれない場合、その部分の所有者から土地を購入
するなどの方法をとらないと、本地は角地として成立しません。
しかし、それは現実的ではないので、事前に知った際に出来ること
といえば、その分の価格交渉や、角地緩和を受けない場合の建物
ボリュームでも自身が納得できるか、もう一度検討することです。
尚、ある行政の建築審査課で聞いた話ですが、
建築審査上では所有者などは確認していないので、
勝手に角地として申請してもバレないのが現状とか。
これも決して堅実な方法ではありませんから、やはり、
その物件の法令遵守による本来の物件価値で判断する
べきでしょう。
その本来の物件価値を間違わないよう、緩和等の適用の可否判断に、
お役立て頂ければと思います。
次回は、角地緩和の利用ができない土地の最後です。
先程お話しました、勝手に角地申請してしまった例と、
それを正当化する為に、角地緩和の適用可能な理由を
行政が作ってくれた珍しい実例です。
※建築可能な建物の規模に関しては、斜線制限・高度地区・日影規制等により
建築制限を受け、角地緩和の利用未利用に限らず1割増の建蔽率利用が出来ない
場合がございます。特定の敷地に対する建築可能な建物規模については、
建築士等の専門家との打ち合わせが必要です。
参考までにケース②、ケース③のパターンと注意点も、
エスクローブログ中でご紹介していますので、そちらも参照して下さい。
http://ameblo.jp/adcast-escrow/entry-11443363591.html
このコラムの執筆専門家
- 藤森 哲也
- (不動産コンサルタント)
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
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