不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴
【不確定な契約条件の注意点/角地緩和(建蔽率10%アップ)が使えない角地⑥】
今回は、実際に建蔽率の角地緩和(建蔽率10%アップ)が利用できない
実例をあげてみたいと思います。
また、それらを契約前に知ることで、角地緩和の使える土地へと変えて
いく方法、契約条件も合わせてご紹介したいと思います。
まず、画像をご覧下さい。
これから分筆予定の分割計画図があります。
分かりやすいよう、概略図も並べておきますので参照して下さい。
では、この分割予定図の、何が問題で角地緩和が利用できないか
考えてみて下さい。
下記のコラムを思い出して頂ければ、原因が分かると思います。
http://profile.ne.jp/w/c-95788/
ちょっと変わった形状なので、勘繰りたくなるポイントも幾つかあったと
思いますが、この土地が、このままでは緩和の適用ができない理由は、
『接道部分の合計の長さが、敷地の周長の1/3以上』です。
ちょっと細かい計算になりますが、以下のようになります。
敷地の周長:4.9m+6.6m+3.7m+0.7m+7.6m+8.0m+17.0m=48.5m
↓
接道部分の合計長さ:4.9m+6.6m+3.7m+0.7m=15.9m
↓
16.1m【周長の1/3】≫ 15.9m【接道の周長】
↓
角地緩和NG
また、今までのコラムの中で、角地緩和が利用できない要件に、
『どちらか一方の接道が2m未満しかない場合』
『内角120度以下の2つの道路によってできた角地』
などもあげてきましたが、上記画像2のように、2m以下の接道部分や
120度以上の箇所があるからダメという訳ではありません。
『内角120度以下の2つの道路が、それぞれ2m以上接道している敷地』
であるかどうかです。 B区画のように、同一敷地に満たしていない箇所があっても、
満たしている箇所がある角地なら、この件に関しては問題ありません。
では、このような土地を、どう緩和適用可能な土地にするかですが、
分割(分筆)前の敷地で、他の区画がまだ契約前であれば、区割り内容は
当然変更することも容易なので、そのように分割計画を変更してもらい、
新たな分割計画図を作成し直し、契約内容には角地緩和適用可能な
敷地形状の分割図に基づいて分筆する旨の条件を記載すれば解決します。
画像のように、接道部分以外の部分を若干短くし、接道部分を若干長くするだけで
各区画の面積自体は変わらず、問題を解決できます。
早期に気付けば簡単な分割内容の変更で済みますが、
緩和の利用ができない土地形状のまま引渡された後であったり、
A区画(分譲地他区画)が、他の購入者と契約した後であったりすれば、
分割(分筆)内容を改めるの難し状況となります。
このように、そのままでは緩和等が利用できない場合でも、
事前に知ることが出来れば、対策したり改めることができます。
次回は、角地緩和の利用ができない実例のケース2です。
尚、建築可能な建物の規模に関しては、斜線制限・高度地区・日影規制等により
建築制限を受け、角地緩和の利用未利用に限らず1割増の建蔽率利用が出来ない
場合がございます。特定の敷地に対する建築可能な建物規模については、
建築士等の専門家との打ち合わせが必要です。
このコラムの執筆専門家
- 藤森 哲也
- (不動産コンサルタント)
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
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