●風の流れの計画
住み心地と風は、換気と云う効果を持って具体的な住みやすさとなります。
家の中のこもった熱気を外に追いやり、調湿効果や臭い対策にもなります。家の中に風を取り入れる工夫をすれば、快適な家になります。
とは言っても、厳冬期や真夏では外気を取り入れても、快適にはなりません。換気で家が快適になるのは、初夏の頃と初秋の頃です。他の家ではクーラーが欲しくても、この家はクーラー無しで過ごせる。そんな家造りが求められています。
地球規模で風の流れを考えますと、自転の関係で常に西から東に風は流れています。日本の家は概ね東西に換気を良くしていれば、大きな間違いはありません。
その他に、海の近くでしたら、陸地と海面との暖まり易さの違いで、朝夕に風が起こります。朝は海から陸に向けて風が吹き、夜は陸から海に向かって風が吹きます。陸と海の温度差の無くなる時が風の止む時で、これを凪(なぎ)と呼びます。
また、山の麓では、平地から山に向かって上昇気流が発生します。平地の空気が湿気を帯びていると、山に沿って上昇して行く際に、気圧と温度が下がり水蒸気が飽和状態となり雲が発生して雨を降らせます。その風が山を越えると今度は気圧が上がり乾燥した暖かい空気となります。
これがフェーン現象です。
それらの風を勘案しながら、家の中に風を取り込む努力をして行きます。
平面的な風の流れを述べましたが、風は上下にも移動します。
家の中では暖かい空気は二階へ上り、冷たい空気は一階へ下りてきます。これが、吹き抜けが
嫌われる大きな原因となっていますが、逆にこの効果を利用すれば快適な家を造る事も出来ます。
例えば、風の無い蒸し暑い夜に、二階の窓を開けておくと熱せられた暑い空気が屋外で逃げ、一階の窓から、外の冷気が入り込んできます。風が無くても涼しい空気を家の中に取り込む事ができるのです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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