- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:事業再生と承継・M&A
- 村田 英幸
- (弁護士)
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○中小企業承継事業再生の定義
産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(以下、産業再生法といいます。)において、中小企業承継事業再生が定められています。
産業再生法において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいいます(産業再生法2条19項)。
(ⅰ)資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種((ⅱ)から(ⅳ)までに掲げる業種及び(ⅴ)の政令で定める業種を除きます。)に属する事業を主たる事業として営むもの
(ⅱ)資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業((ⅴ)の政令で定める業種を除きます。)に属する事業を主たる事業として営むもの
(ⅲ)資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、サービス業((ⅴ)の政令で定める業種を除きます。)に属する事業を主たる事業として営むもの
(ⅳ)資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であって、小売業(次号の政令で定める業種を除きます。)に属する事業を主たる事業として営むもの
(ⅴ)資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
(ⅵ)企業組合
(ⅶ)協業組合
(ⅷ)事業協同組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって、政令で定めるもの
「特定中小企業者」とは、過大な債務を負っていることその他の事情によって財務の状況が悪化していることにより、事業の継続が困難となっている中小企業者をいいます(産業再生法2条21項)。
「中小企業承継事業再生」とは、特定中小企業者が会社の分割又は事業の譲渡によりその事業の全部又は一部を他の事業者に承継させるとともに、当該事業者が承継した事業について収支の改善その他の強化を図ることにより、当該事業の再生を図ることをいいます(産業再生法2条22項)。
「承継事業者」とは、中小企業承継事業再生により事業を承継する事業者をいいます(産業再生法2条23項)。
○中小企業承継事業再生計画のスキーム
(ⅰ)スキーム
「中小企業承継事業再生計画」のスキームは、収益性のある事業部門を会社分割または事業譲渡により他の事業者(第二会社)に承継させ、事業の再生を図るものです。
優良部門と切り離された不採算部門は、特別清算などにより清算されます。
(ⅱ)支援内容
「中小企業承継事業再生計画」を策定して、国の認定を受けると、以下のような支援を受けることができます。
(ア)許認可の承継
営業が必要な許認可を譲渡会社または分割会社から第二会社が承継できます。
(イ)税負担の軽減
第二会社を設立した場合等の登記に係る登録免許税、第二会社に不動産の所有権移転登記手続をする場合の登録免許税が軽減されます(租税特別措置法80条1項)。
|
原則 |
会社分割の特例 |
資本金 |
0.15% |
0.10% |
増加資本金 |
0.70% |
0.35% |
不動産価額 |
0.80% |
0.20% |
不動産価額 |
原則 |
事業譲渡の特例 |
土地 |
1.00% |
1.00% |
建物 |
2.00% |
1.60% |
(ウ)金融支援
(一)日本政策金融公庫の特例融資
設備投資、運転資金について長期固定金利で融資を受けることができます。
○ 中小企業承継事業再生計画の認定
(1)特定中小企業者及び承継事業者(承継事業者となる法人を設立しようとする者を含みます。)は、共同で(特定中小企業者が承継事業者となる法人を設立しようとする者である場合においては、特定中小企業者は、単独で)、その実施しようとする中小企業承継事業再生に関する計画(以下「中小企業承継事業再生計画」といいます。)を作成し、主務省令で定めるところにより、これを平成28年3月31日までに主務大臣に提出して、その認定を受けることができます(産業再生法39条の2第1項)。
(2)中小企業承継事業再生計画には、次に掲げる事項を記載しなければなりません(産業再生法39条の2第2項)。
(ⅰ) 中小企業承継事業再生の目標
(ⅱ) 特定中小企業者の業務及び財務の状況に関する事項
(ⅲ) 承継事業者に関する事項
(ⅳ) 中小企業承継事業再生による事業の強化の程度を示す指標
(ⅴ) 中小企業承継事業再生の内容及び実施時期
(ⅵ) 中小企業承継事業再生の実施に必要な資金の額及びその調達方法
(ⅶ) 中小企業承継事業再生に伴う労務に関する事項
(3)中小企業承継事業再生計画には、特定許認可等に基づく特定中小企業者の地位であって、当該中小企業承継事業再生のために承継事業者が承継しようとするものを記載することができます(産業再生法39条の2第3項)。特定許認可等とは、行政手続法2条3号 の許認可等であって、それに基づく地位を特定中小企業者が有する場合において当該地位が承継事業者に承継されることが中小企業承継事業再生の円滑化に特に資するものとして政令で定めるものをいいます(産業再生法39条の2第3項かっこ書)。たとえば、旅館業、建設業、道路運送法、貨物自動車運送事業などの許認可です(産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法施行令9条1項)。
(4)主務大臣は、(1)の認定の申請があった場合において、その中小企業承継事業再生計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとします(産業再生法39条の2第4項)。
(ⅰ) 当該中小企業承継事業再生計画が基本指針に照らし適切なものであること。
(ⅱ) 当該中小企業承継事業再生計画に係る中小企業承継事業再生が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
(ⅲ) 当該中小企業承継事業再生計画に係る中小企業承継事業再生により、承継事業者が承継する事業に係る特定中小企業者の経営資源が著しく損なわれ、又は失われるものでないこと。
(ⅳ) 当該中小企業承継事業再生計画が従業員の地位を不当に害するものでないこと。
(ⅴ) 当該中小企業承継事業再生計画が特定中小企業者の取引の相手方である事業者の利益を不当に害するおそれがあるものでないこと。
(5) 主務大臣は、中小企業承継事業再生計画に(3)の特定許認可等に基づく特定中小企業者の地位が記載されている場合において、(4)の認定をしようとするときは、当該特定許認可等をした行政庁に協議し、その同意を得なければなりません(産業再生法39条の2第5項)。
(6) 行政庁は、主務大臣及び(1)の認定の申請を行った者に対して、同意に必要な情報の提供を求めることができます(産業再生法39条の2第6項)。
(7) 行政庁は、当該特定許認可等をする根拠となる規定の趣旨を考慮して、同意をするかどうかを判断するものとされます(産業再生法39条の2第7項)。
○中小企業承継事業再生計画の変更等
(1)産業再生法39条の2第1項の認定を受けた者(当該認定を受けた者が当該認定に係る中小企業承継事業再生計画に従って設立した承継事業者となる法人を含みます。以下「認定中小企業承継事業再生事業者」といいます。)は、当該認定に係る中小企業承継事業再生計画を変更しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認定を受けなければなりません。ただし、主務省令で定める軽微な変更については、この限りではありません(産業再生法39条の3第1項)。
(2)認定中小企業承継事業再生事業者は、前記(1)ただし書の主務省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければなりません(産業再生法39条の3第2項)。
(3)前記(1)の規定による変更の認定の申請及び前記(2)の規定による変更の届出は、認定中小企業承継事業再生事業者が、共同で(当該申請又は届出が、産業再生法39条の2第1項の認定を単独で受けた特定中小企業者に係る中小企業承継事業再生計画に係るものである場合であって、当該中小企業承継事業再生計画に従って承継事業者となる法人を設立する前に行われるときは、当該特定中小企業者が、単独で)行います。ただし、認定に係る中小企業承継事業再生計画(前記(1)の規定による変更の認定又は前記(2)の規定による変更の届出があったときは、その変更後のもの。以下「認定中小企業承継事業再生計画」といいます。)に従って承継事業者が事業を承継した後においては、当該承継事業者が、単独で行うことができます(産業再生法39条の3第3項)。
(4) 主務大臣は、認定中小企業承継事業再生計画に従って承継事業者が事業を承継する前に前記(1)の規定による変更の認定の申請がされ、かつ、その変更が次の各号のいずれかに該当するものである場合において、前記(1)の認定をしようとするときは、当該各号に定める行政庁に協議し、その同意を得なければなりません(産業再生法39条の3第4項)。
(ⅰ) 主務大臣が産業再生法39条の2第5項の規定により行政庁の同意を得てした同条第四項の認定に係る中小企業承継事業再生計画の変更 当該行政庁(当該変更が特定許認可等に基づく特定中小企業者の地位の全部又は一部の記載を削除しようとするものである場合においては、当該削除に係る特定許認可等をした行政庁を除きます。)
(ⅱ) 新たに特定許認可等に基づく特定中小企業者の地位を記載しようとする変更 当該特定許認可等をした行政庁
(5) 主務大臣は、認定中小企業承継事業再生事業者が当該認定中小企業承継事業再生計画に従って中小企業承継事業再生のための措置を行っていないと認めるときは、その認定を取り消すことができます(産業再生法39条の3第5項)。
(6) 主務大臣は、認定中小企業承継事業再生計画が産業再生法39条の2第4項のいずれかに適合しないものとなったと認めるときは、認定中小企業承継事業再生事業者に対して、当該認定中小企業承継事業再生計画の変更を指示し、又はその認定を取り消すことができます(産業再生法39条の3第6項)。
○特定許認可等に基づく地位の承継等
(1) 認定中小企業承継事業再生計画に産業再生法39条の2第3項の特定許認可等に基づく特定中小企業者の地位が記載されている場合において、当該認定中小企業承継事業再生計画に従って承継事業者が事業を承継したときは、当該承継事業者は、当該特定許認可等の根拠となる法令の規定にかかわらず、当該特定許認可等に基づく特定中小企業者の地位を承継します(産業再生法39条の4第1項)。
(2)認定中小企業承継事業再生事業者は、当該認定中小企業承継事業再生計画に従って承継事業者が事業を承継したときは、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を主務大臣に報告しなければなりません(産業再生法39条の4第2項)。
(3)主務大臣は、上記(1)の規定により承継事業者が特定許認可等に基づく特定中小企業者の地位を承継した場合において、前項の規定による報告を受けたときは、主務省令で定めるところにより、その報告に係る事項を当該特定許認可等に係る行政庁に通知しなければなりません(産業再生法39条の4第3項)。
(二)中小企業信用保険法の特例
普通保険、無担保保険、特例小口保険に同額の別枠を設けることができます。ただし、第二会社が新設会社の場合は除きます(産業再生法39条の5)。
(三)中小企業投資育成株式会社の特例
資本金3億円超の中小企業であっても、設立の際に発行される株式、新株予約権、新株予約権付社債等の引き受けなどの支援を受けることができます(産業再生法39条の6)
第三節 中小企業再生支援体制の整備
○中小企業再生支援指針
(1) 経済産業大臣は、事業再構築、経営資源再活用、経営資源融合、資源生産性革新、経営資源活用新事業その他の事業活動を行うことによりその生産性を向上させようとする中小企業を総合的かつ効果的に支援するとともに、中小企業承継事業再生その他の取組による中小企業の事業の再生を適切に支援し、その活力の再生に資するため、国、地方公共団体、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び次条第二項に規定する認定支援機関が講ずべき支援措置に関する基本的な指針(以下「中小企業再生支援指針」といいます。)を定めなければなりません(産業再生法40条1項)。
(2)中小企業再生支援指針においては、次に掲げる事項について定めるものとします(産業再生法40条2項)。
(ⅰ) 中小企業の活力の再生の支援に関する基本的事項
(ⅱ) 中小企業の活力の再生の支援内容に関する事項
(ⅲ) 中小企業の活力の再生の支援体制に関する事項
(ⅳ) その他中小企業の活力の再生の支援に関し配慮すべき事項
(3) 経済産業大臣は、経済事情の変動により必要が生じたときは、中小企業再生支援指針を変更するものとします(産業再生法40条3項)。
(4) 経済産業大臣は、中小企業再生支援指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、中小企業者の事業を所管する大臣に協議するとともに、中小企業政策審議会の意見を聴かなければなりません(産業再生法40条4項)。
(5) 経済産業大臣は、中小企業再生支援指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければなりません(産業再生法40条5項)。
○認定支援機関
(1)経済産業大臣は、中小企業再生支援指針に基づき、経済産業省令で定めるところにより、商工会、都道府県商工会連合会、商工会議所又は中小企業支援法 7条1項 に規定する指定法人であって、都道府県の区域の全部又は一部の地域において下記(2)に規定する業務(以下「中小企業再生支援業務」といいます。)を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、中小企業再生支援業務を行う者として認定することができます(産業再生法41条1項)。
(2) 上記(1)の認定を受けた者(以下「認定支援機関」といいます。)は、他の法令に定めるもののほか、当該認定に係る産業再生法41条4項第4号ハの地域において、次の業務を行うものとします(産業再生法41条2項)。
(ⅰ) 次に掲げるもののいずれかを行い、又は行おうとする中小企業者の求めに応じ、必要な指導又は助言を行うこと。
イ 事業再構築、経営資源再活用、経営資源融合、資源生産性革新又は経営資源活用新事業
ロ 中小企業承継事業再生その他の取組による事業の再生
(ⅱ) 中小企業者及びその経営の改善を支援する事業を行う者並びにこれらの者の従業員に対し、前記(ⅰ)イ又はロに掲げるものに関する研修を行うこと。
(ⅲ) 上記(ⅰ)(ⅱ)に掲げる業務に関連して必要な情報の収集、調査及び研究を行い、並びにその成果を普及すること。
(ⅳ) 独立行政法人中小企業基盤整備機構からの委託に基づき、産業再生法47条に規定する業務の実施に必要な調査を行うこと。
(3) 認定支援機関は、他の法令に定める業務及び産業再生法41条2項各号に掲げる業務のほか、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律5条 の認証を受け、かつ、産業再生法48条1項の認定を受けて、事業再生に係る紛争について民間紛争解決手続(同法2条第1号 に規定する手続をいう。ADR法。)を実施することができます(産業再生法41条3項)。
(4) 上記(1)の認定を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した認定申請書を経済産業大臣に提出しなければなりません(産業再生法41条4項)。
(ⅰ) 名称及び住所
(ⅱ) 事務所の所在地
(ⅲ) 産業再生法42条1項に規定する中小企業再生支援協議会の委員として任命しようとする委員の候補者
(ⅳ) 中小企業再生支援業務に関する次に掲げる事項
イ 中小企業再生支援業務の内容
ロ 中小企業再生支援業務の実施体制
ハ 中小企業再生支援業務を行う地域
ニ イからハまでに掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
中小企業再生支援協議会は、具体的には、財務状況がわかる資料(直近3期分の決算書など)を基に、経営や財務に関する相談をし、助言をします。さらに、専門家(弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士など)のチームを作って必要に応じて、「再生計画」に基づき、関係金融機関との間で調整を行います。
金融機関との調整とは、例えば、以下のようなものです。
(ⅰ)返済条件の変更(リスケジュール)
(ⅱ)運転資金についての保証協会による債務保証付きの新規融資についての相談助言
(ⅲ)中小企業支援協議版「資本的借入金」の導入
上記「資本的借入金」は以下の特長があります。
(ア)15年の期限一括償還であり、償還条件が長期です。
(イ)条件変更後、債務者が赤字の場合には利子負担がほとんど生じない等の金利設定がされた、劣後ローンです。
(ウ)金融機関の貸付金の自己査定において、自己資本とみなすことができるとされ、実質債務超過の解消期間が短くなり、早期の経営改善につながります。
(ⅳ)優良な部門を会社分割や事業譲渡などにより、不採算部門と切り離し、優良部門はスポンサーの支援を受け再生し、不採算部門は特別清算などにより清算します(第二会社方式)。
もっとも、良い面ばかりではなく、経営者に対しても、以下のような指導がなされることがあります。
(ⅰ)経営者の私財の提供(例えば、個人所有の不動産の売却など)による債務の圧縮
(ⅱ)遊休不動産の売却
(ⅲ)不採算部門からの撤退
(ⅳ)旧経営陣の退任を含む経営者責任の明確化(ただし、役員を退任し、新会社に従業員として雇用される選択肢もあり得ます)
○中小企業再生支援協議会
(1) 認定支援機関に、中小企業再生支援協議会を置きます(産業再生法42条1項)。
(2) 中小企業再生支援協議会は、認定支援機関の長及びその任命する委員をもって組織します(産業再生法42条2項)。
(3) 中小企業再生支援協議会の委員は、中小企業再生支援業務に係る実務経験又は学識経験を有する者のうちから任命しなければなりません(産業再生法42条3項)。
(4) 認定支援機関の長は、中小企業再生支援協議会の委員を任命したときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣にその旨を届け出なければなりません。中小企業再生支援協議会の委員に変更があったときも、同様とします(産業再生法42条4項)。
(5) 中小企業再生支援協議会は、認定支援機関が行う中小企業再生支援業務の具体的内容、実施体制の確保その他の中小企業再生支援業務の遂行に関する重要な事項を審議し、決定するほか、認定支援機関に対する専門的な助言を行います(産業再生法42条5項)。
○支援の対象となる条件
・会社分割または事業譲渡により、第二会社の事業を承継し、承継後2年以内に旧会社を清算すること
・計画申請時点で、有利子負債/CF(キャッシュフロー)>20
・計画終了時点で①有利子負債/CF(キャッシュフロー)≦10②経常収支≧0
・中小企業再生支援協議会等の公正な債権者調整手続を経ていること
・旧会社の承継される事業に係る従業員の8割以上の雇用を計画実施期間において、計画終了時まで確保すること
・従業員と使用者が十分な協議が行われていること
・旧会社の商取引先企業の売掛金債権を毀損させないことなどの条件をみたす中小企業が対象となります。
○秘密保持義務
(1)認定支援機関の役員若しくは職員若しくは中小企業再生支援協議会の委員又はこれらの職にあった者は、中小企業再生支援業務に関して知り得た秘密を漏らしてはなりません(産業再生法43条1項)。
(2) 上記(1)の規定は、認定支援機関が41条2項第1号に掲げる業務(同号ロに掲げるものに係るものに限る。以下この項において単に「業務」といいます。)を円滑に行うために独立行政法人中小企業基盤整備機構の助言を受けることが必要な場合において、認定支援機関の役員若しくは職員又は中小企業再生支援協議会の委員が独立行政法人中小企業基盤整備機構に提供する当該業務に関する情報に関しては、適用しません(産業再生法43条2項)。
○金融支援
(ⅰ)中小企業信用保険法 の特例
定支援機関であって、特定中小企業再生支援事業(中小企業再生支援業務に係る事業であって、中小企業再生支援協議会の決定を経たものをいいます。)の実施に必要な資金に係る中小企業信用保険法3条1項 又は3条の2第1項 に規定する債務の保証を受けたものについては、当該認定支援機関を同法第2条第1項 の中小企業者とみなして、同法3条、3条の2及び4条から8条までの規定を適用されます。この場合において、同法3条第1項 及び第3条の2第1項 の規定の適用については、これらの規定中「借入れ」とあるのは、「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法46条に規定する特定中小企業再生支援事業の実施に必要な資金の借入れ」と読み替えられます(産業再生法46条)。
○独立行政法人中小企業基盤整備機構の行う再生支援出資業務
独立行政法人中小企業基盤整備機構は、中小企業の活力の再生を支援するため、投資事業有限責任組合(事業再構築、経営資源再活用、資源生産性革新及び中小企業承継事業再生を行う事業者に対する資金供給を行うものとして政令で定めるものに限ります「特定投資事業有限責任組合」といいます。)であって中小企業に対する投資事業を行うものに対する当該投資事業に必要な資金の出資の業務を行うこととされています(産業再生法47条)。
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