吹き抜けは気持ちの良い空間ですが、光熱費がもったいない気がしますよね。そこでせめて、お盆前後や厳冬期は吹き抜けを塞いでしまうと云うアイデアが生まれますが、その実用性はどうでしょう?
結論から云えば、Ⅳ地域以南で、且つ温熱等級が4(次世代省エネ基準レベル)であれば、吹き抜けはそのままにしておいて、シーリングファンで空気を循環させる方が快適な住まいとなるかと思います。
経験的な話しですが、南面したリビングに吹き抜けを設けて、リビングを介して空気環境的に全室がつながっている、温熱等級4の家を、何棟か設計しています。
凡そ300立米程度の気積に対して、4KW程度のエアコン(12畳用相当)を1台運転しているだけでほぼ1年間過ごされています。お盆前後の真夏の昼間と厳冬期の夜間のみ予備の同程度のエアコンを使われています。
但し次世代省エネ基準の設定の仕方が、冬の寒さを中心に考えられた設定となっていますので、夏の暑さ対策に気を使った設計になっていなければ、日除けテントを設けるとかの工夫が省エネ基準以上に必要になるかと思いますが・・・
もしも、普通の家の増改築で吹き抜けを設けたのであれば、二階床部分で可動式の仕切りを考えた方が、リビングは快適になるでしょう。
障子で仕切れば、気密を確実に行えますので、面白いですが開放している時の収納に工夫が必要となります。開閉の操作も手間の掛かるものとなるでしょう。
地域等の条件次第ですが、そこまで確実に密閉しなくても、良いのであればカーテンやブラインドを横向きに取り付けて、チェーンや紐を使って操作する方が操作が簡単で、使い勝手が良いでしょう。
ただ、掃除・洗濯・張替え等のメンテナンスが大変かと思いますので、仕切る工事にお金を掛けるよりも家全体を高気密化・高断熱化する方が賢明でしょう。
このコラムの執筆専門家

- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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