- 伊藤 誠
- 代表取締役
- 東京都
- ファイナンシャルプランナー
対象:お金と資産の運用
最新金融情報徹底解読 ★伊藤誠の特選記事★
■購買力低下防ぐ資産運用をめざす■
=金融史に学ぶ激動期の投資戦略=
~2011年9月25日、日経ヴェリタスp67より~
資産運用を考える上では、
欧州の伝統的な投資家たちの思考法が
参考になります。
彼らはいたずらに保有資産の値上がりなどを追い求めず、
「実質的な価値」を保全することに努めます。
歴史上、インフレによって
金融資産の購買力が低下してしまうという
苦い経験を重ねてきたからです。
たとえば18世紀末のフランス革命期、
政府が軍事費調達のために紙幣を乱造したせいで、
パリでは5年間に小麦が100倍強、
砂糖が300倍強値上がりするという
超インフレに見舞われました。
現代でも同じことがいえます。
2000年末から2010年末までの10年間に、
米国の消費者物価指数は3割近く上昇しました。
わかりやすい品目でいえば、
マクドナルドのビックマックは
2000年末には2ドル50セントでしたが、
2010年末には3ドル60セントと、
10年間で4割強値上がりしました。
物価上昇が、金融資産の購買力に
どれだけ影響を与えるかを試算してみました。
ある人が2000年末に、
100ドルを持ってマクドナルドの店頭に行き、
ビックマックを注文したとします。
このとき手にいれることができたのは、
ビックマック40個です
(100ドル÷2ドル50セント)。
一方、別の人は2000年末に
手持ちの100ドルを米国の株式に投資しました。
その後の10年間で、
米S&P500株価指数
(米国株の平均のようなもの)は、
約15%のプラスとなり、
この人の株式資産は115ドルに増えました。
そして2010年末に
その115ドルをもってマクドナルドに行きました。
その際、購入できるビックマックは32個です
(115ドル÷3ドル60セント)。
この例では、購買力、つまりインフレを考慮した
実質の株式投資リターンは、
マイナス20%(32個÷40個)
という計算になります。
名目でなく、実質の金融資産を増やすことが
いかに重要かがわかるでしょう。
※以上、ヴェリタス誌より※
日本はここ30年ぐらいインフレとは無縁で
今40歳以下の日本人には
「インフレ」
ピンとこないのではないでしょうか。
しかし、日本は世界的には異端児で
どこの国も極端なインフレにならないよう
政府や中央銀行が努力をしています。
日本はこのまま当分インフレにならないのでしょうか。
たとえばガソリン。
現在140円前後で給油ができていると思いますが、
これは若い人も記憶にあるように
ここ数年の間にも90円~150円ぐらいまで
価格が上下していると思いませんか。
今、超円高で1ドル76円前後ですが、
1ドル100円になったら30%ぐらい円安になるので、
ガソリンが190円ぐらいになったとしてもおかしくありません。
日本はエネルギーや食糧品など輸入に頼っているので、
この値段が円高のおかげで安く買えている
という事実があります。
日本が今後インフレになるということは
私もあまり想像できません。
(デフレがあたりまえの生活が20年続いたためでしょう)
しかし、ギリシャのように
アクシデントは突然やってきます。
(ギリシャの話も数年前は全くありませんでした)
世界的にはインフレが通常なので、
インフレとはどのようなことなのか
知っておくのがよいと思っています。
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