- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 近江 清秀
- (税理士)
- 平 仁
- (税理士)
金融証券税制については、平成24年1月から本則課税に戻る予定でしたが、
2年間軽減措置が延長され、本則課税に戻ることに対応して創設されることに
なっていた日本版ISAの創設も2年導入が先送りされることになりました。
2.個人所得課税
(4)金融証券税制
「個人金融資産を有効に活用し、我が国経済を活性化させるためにも、
金融所得間の課税方式の均衡化と損益通算の範囲拡大を柱とする金融所得
課税の一体化に向けた取組みを進める必要があります。現行の上場株式等
の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率は、公平性や金融商品間の中立性
の観点から、20%本則課税とすべきですが、景気回復に万全を期すため、
2年延長し、平成26年1月から20%本則課税とします。
これに伴い、非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等
の非課税措置の導入時期については、平成26年1月からにします。」
「現在、店頭金融デリバティブ取引に係る所得については、総合課税と
していますが、金融商品間の課税の中立性を高める観点から、市場金融
デリバティブ取引に係る所得と同様に、20%申告分離課税とした上で、
両者の通算及び損失額の3年間の繰越控除を可能とします。」
「現行の会社法における少数株主権の制度との整合性及び所得再分配機能の
回復の観点から、事業参加的側面が強いことを勘案して総合課税としている
大口株主等が支払を受ける上場株主等に係る配当等の要件について、
発行株式等の総数等に占める保有割合を、現行の5%から3%に引き下げます。」
森信茂樹編、金融税制研究会・NTTデータ経営研究所「金融所得一体課税
の推進と日本版IRAの提案」(金融財政事情研究会2010年8月刊)は、
昨年の平成22年度税制改正大綱は、「金融商品間の損益通算の範囲の拡充に
向けて検討を進めること、そのなかでとりわけ公社債の利子および譲渡所得
に対する課税方式を申告分離課税とすることについては、平成23年度改正
で見直すことを検討する、と読める。つまり、平成23年末までは、
株式譲渡益と配当所得については優遇税制が適用されているので一体化は
無理あるが、(期限が切れ)税率がそろう平成24年の一体化に向けて、
平成23年度改正のなかで、複雑な証券税制の整備とあわせて抜本的に検討
するということである。」(17-18頁)と指摘していることに注目したい。
今年度の税制調査会の会合開催状況を見てみると、4月に市民公益税制PTの
報告、6月に専門家委員会の報告があった後、鳩山政権下では、税制改正に
向けた内容的の議論をするために召集されることがなく、菅政権発足後の
10月に入って突然議論が始まっている。
つまり、複雑な税制を政治主導で議論するための会合さえ開催しないで
きたからこそ、22年度大綱で23年度に抜本改革を行うとしながら、
時間切れで先送りせざるを得なくなった、という状況が見て取れてしまう。
鳩山さんが何もやってこなかったことのツケを菅さんが払わされている
のですが、これでよく政治主導と言ったものだと思いますけどね。
政局に追われて後手後手になっているのでしょうが、国民のために、
全員が倒れてでも勉強して頂きたいものです。
金融証券税制については、ともかく2年先送りです。
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