もう十数年前になりますが、その当時お世話になっていた研修講師の方が、とにかく大のジャイアンツファンでした。いろいろな企業で研修をされるのですが、その始まりは自己紹介を兼ね、決まって「自分はいかにジャイアンツが大好きか」というお話でした。
その方とは酒席などでお話をうかがう機会があったのですが、「実はあの自己紹介のおかげで、自分にとってすごく良いことがある」とおっしゃいました。何かを尋ねると「あの話をすることで、たまたま手元にジャイアンツ戦のチケットが余った人が自分に回してくれる」のだそうです。大体野球のチケットというのはいろいろな所で余っているものだそうで、その時に「そういえばあの人・・・」と思い出してもらえるので、いろいろなつながりの方々からチケットが回ってきて、年間で結構な試合数を見に行けるのだそうです。「いやー、言ってみるものなんだよ」とおっしゃっていました。
自分自身の人となり、嗜好などを他人に知ってもらっていると、その事柄に関していろいろな話が舞い込むようになります。「ゴルフ好き」と知られればゴルフのお誘いが来るでしょうし、「酒好き」と知られれば宴席の誘いは増えるでしょう。
逆に「これは嫌い」、「自分はやらない」と知られていれば、そのことに関して誘われることはほぼ無いでしょう。またはっきり意思表示していなくても、飲み会の誘いを何度も断ればそのうち誘われなくなるでしょうし、ゴルフだって同じでしょう。(自分は好きでも一緒に行動して楽しくないような人は、やっぱり誘われなくなるでしょう。ここは自分の振舞い次第ということですね。)
このような趣味の話だけでなくても、自分の性格、仕事の進め方、好きな事と嫌いな事など、自分の事を他人に知ってもらうことは、無駄なやり取りを減らすことができ、相手にとっても自分にとっても良いことが多いと思います。何より自分にとって有用な情報が集まりやすくなるように思います。
多くの人は無意識の中で既にやられていることなのかもしれません。でもそれを更に意識的にやることで、それこそ「運が向いてくる」のではないかと、このお話を聞いた当時には思いました。
久しぶりに思い返しましたが、今でもやっぱり同じような感想を持っています。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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