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閲覧数順 2024年12月08日更新

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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


去る11月2日に、財務省の「財政制度分科会」が行われました。

おおまかな内容としては、財務省としては介護報酬のプラス改定に否定的である、ということ。
毎回、介護給付費分科会の議論が大詰めになったタイミングで、財務省は横やりを入れてきます。
そしていつものごとく、「社会保障財政は逼迫している」「基本は社会保障費削減だ」と騒ぐわけです。ある意味、恒例行事のようなものです。

案の定、今回公表された資料には、かなり辛辣な見解が述べられていました。
ポイントは下記の通りですが、資料では「総論」が3つ、「各論」が6つ示されております。


(総論)
①もともと、社会保障費の増大(介護報酬のプラス改定)は制度の持続可能性の観点から慎重を期すべき。それでも、必要性があったことから基本的にはプラス改定をしてきたが、国民感情を鑑みるとこれ以上国民負担を増大させるわけにはいかない。
③先般発表された「介護事業経営実態調査における収支差率」は、昨年対比ではマイナスであるものの、中小企業の平均値と遜色がない。十分利益が上がっている。
④コロナの影響も、一時的に利用控えはあったものの、6月以降は改善している。かかり増し経費については「緊急包括交付金」で十分カバーされていている。令和3年度は、今後のコロナ感染の状況を勘案しあくまで「臨時的な取り扱い」で対応していく。

以上の理由から、次期介護報酬改定ではプラス改定させる必要性はない、と結論づけています。
(各論)
各論① 処遇改善加算の更なる拡充は不要。特定処遇改善加算の取得率が6割程度に留まっているので、まずはそれを活用すべき。

各論② 事業の効率化(ICTや介護ロボット等の活用)で生産性が向上すれば、報酬増に頼らずに増収増益を確保することは十分可能である。

各論③ 加算の算定について、種類が多く体系が複雑である。これを見直すことで、有効な加算は重点化し政策的効果が達成されたもの等は整理・統合していく。事務負担は軽減すべき。

各論④ 集合住宅(ここではサ高住を取り上げている)に対する訪問サービスの回数上限設定が必要。サ高住併設の外部サービス(同一法人が運営していても、形式的には外部サービスとなる)が、区分支給限度基準額の90%以上計上されている点を適正化する。
各論⑤ 福祉用具貸与の一部品目を貸与項目から除外する。具体的には、福祉用具のみのケアプラン(全体の約6%とのこと)に着目し、歩行補助杖等の廉価な福祉用具については貸与ではなく「販売」に切り替える。そうすることで、福祉用具のみのケアプランにかかる給付費も削減するべき。

各論⑥ 介護療養型医療施設の「介護医療院」への転換は、令和5年までの経過措置が設けられているが、依然として進まない。従って、次回診療報酬改定で療養病棟入院の入院基本料を引き下げるとともに、次回介護報酬改定では介護療養病床の報酬水準を減額させるべき。


こんな感じです。
この内容をみると、ある程度既定路線であるとはいえ、かなり踏み込んだ厳しい内容となっております。


介護有識者もおっしゃっておりますが、これは介護給付費分科会において各サービス事業団体の方々がしっかり反論(エビデンスをもって)していかないと、下手をすればこのまま通ってしまいかねません。


毎回、報酬改定の都度、財務省と厚生労働省は厳しい折衝が繰り広げられます。
財務省は、社会保障費を徹底的にカットしたい。厚生労働省は、必要な部分には手厚くする必要がある。主導権争いのようにも取れる攻防です。



財務省が掲げるこのような提言は、基本的に前々から行われてきています。
ですので、それほどは驚きはありません。ある意味、財務省が言うことはごもっともの部分もあり、制度を維持していくためには、「無駄を省く」「効率化する」「適正化する」ことをどうしても行っていかなくてはなりません。


しかし、問題は「やり方」です。
それは、現場の実態に即した上での、精度の高い見直しです。
そして、明らかに不足している部分においては、迷うことなく拡充することです。


理屈上はおっしゃる通りでも、それを敢行するすることで短期中期的に介護現場(ご利用者様に対しても)にどのような影響を及ぼすのかについて、議論した上で進めていただきたいということです。


私は、そのような場がまさに「介護給付費分科会」だと思っております。当たり前なのですが・・・どうかこの場で、各サービス団体の方々に反証していただき、財務省の一方的な提言通りに進ませない動きが必要です。



財務省が提示した資料が、本当に実情に即しているものなのかを、懐疑的に見る視点も必要です。それは、過去のモリ・カケ問題や年金制度に関する諸問題を見れば、明らかであります。



資料の内容が嘘か誠かという検証をすべきと言いたいのではなく、鵜呑みにしてはならない、ということです。そのためには、常に問題意識を持って考え、取り組んでいかなくてはなりません。
それを一切せずに、国の政策が悪い」と叫んだだけでは全く届きません。



今回の財務制度分科会での提言の中で、介護業界にとっての明るい材料があるとしたら、「介護報酬をマイナス改定にする」という提言まではしていないということだと思います。
あくまで「プラス改定をする必要性はない」と言っています。



巷では、各サービスの基本報酬を増額すべきであるという声が多数であり、現場の立場に立てば私も同感です。必要性があるのであれば、基本報酬自体を上げるべきたと私も考えます。



しかし、現状はそうもいかないわけで、ある意味折衷案(落とし所)を見出していくことになるでしょう。
ですので、私は最終的には大幅なプラス改定は期待できないとしても、小幅のプラスで落ち着くのではないかと思われます。



いずれにせよ、以前からこのコラムで何度も何度も書いている通り、もう介護保険に頼るビジネスは難しくなることは間違いないようです。



公的保険ビジネスに依存しない「新たな事業の柱」を、今から見出していくことが絶対に必要であると、私は考えております。





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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

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有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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