- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
「自分みたいな迷った高校生で溢れるカナダ高校留学」「もしかして、カナダに捨てられた?」
今までに遭遇した多くの相談をストーリーにしてみました。
フィクションとしてのご紹介ですが、事実に基づいたご報告としてお読み下さい。
日本の親のみなさん、これが「カナダ高校留学」の現実です。
Chapter 3 - 「日本と同じ星が見える」
ホストファミリーは今度は白人家庭。 中年夫婦と(中年?若い?いや、年がわからん。)息子が2人。 息子もセカンダリースクール生だけど、話すことはほとんどない。 留学生は嫌いみたいだ。
中国人高校留学生と一緒に暗い半地下の部屋を使っている。 また中国人と相ホスト!? いやぁ、ここで中国人と韓国人を避けるのは無理。 だらけ。
最近、学期の変わり目、特に2学期制の高校の後期、2月から日本人が大挙して送られて来るらしい。 固まってドサッと。 中国人と韓国人と日本人まみれで「カナダ高校留学」って?
弁当のサンドイッチは作ってくれるけど、中身はピーナツバターか、石鹸の味のするチーズのみ。 まずい。 カナダのパンも合わない。 パサパサゴワゴワで、口の中のつばが一気に吸い取られる。 持たせられるジュースも人間の飲み物とは思えず、吐きそう。
朝はどうせ起きられないから食べないけど、食べたくても何もない。 シリアルに牛乳をかけてかっこむだけ。 シリアルは嫌い。 牛乳がないこともよくある。
一度ホストマザーにカンカンに怒られた。 「牛乳がなくなったのになんで言ってくれなかったの? 家族が困るのわかってるでしょ!!」 僕じゃない。 でも言えなかった。
地下の小さな部屋は妙に空気がこもる。 湿っぽいかも。 半地下なので部屋の上の方に窓がある。 その窓を開けるとなんか「ほっ」とする。 いつでも逃げられる開放感かも。 夜もいつも開けて寝る。 星がひとつだけ見える。 日本で見た星か?
ある日、学校から帰ってきたらホストマザーが鬼の形相で叫んで来た。 「あんたの部屋の窓を開けっ放しにしてたでしょ!! 泥棒が入ったらどうするの! セントラルヒーティングの電気・ガス代を無駄遣いさせる気?」のような叱責だったと思う。 僕の英語力ではどう答えたらいいのかわからなかったので、とりあえず “Sorry.”と。
3日後、今度はホストファーザーが真っ赤な顔で怒ってきた。 「窓を閉めろと何度言ったらわかるんだ!」
また、開けっ放しで忘れたみたいだ。 気をつけなくちゃ。 でも、窓の開かない地下の部屋は牢獄のようで嫌だ。 こんな部屋で我慢するために来た? カナダに。
学校から帰っても部屋にいたくないし、勉強も何をどうしたらいいのかわからないので、近くのスケートパークに行ってみた。 アジア人の顔はない。 白人の子供ばっかり。 仲間には入れないな、これ。
ある日、かなり年上に見える白人が話しかけて来た。 おっさんに見えるけど、高校生かな? 手を出せというので出したら、何やら錠剤を握らされた。 「飲んでみろ」とジェスチャーしている。 怖くなって逃げた。 もうあそこには行けないな。
学校にいる時、急に悲しくなって涙が出てきた。 「カナダで何してるんだ?僕。」
「帰りたい」と親に言いたいけど理由がない。 ただ、ここから脱出したい。 それだけ。
カウンセラーの先生に呼ばれた。 泣いていたのを誰かがチクったらしい。 でっぷり太った女のカウンセラー。 顔が怒っていて、キンキン声の早口。 顔色は赤っぽいピンク。 話を聞くというよりは、尋問している。 色々尋問されたけど、よく答えられない。 カウンセラーは眼球を上の方にクルッと向けて馬鹿にするような表情をした。 「死にたいほどホームシックか?」と聞かれた気もする。 何か答えないとまた馬鹿にされると思い、“Yeah.”と返事しておいた。
その返事が大問題になった。
高校に通い始めてまだ一ヶ月も経っていない時。
(Chapter 4 に続く)
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このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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