■情報戦を制する
住宅窃盗犯への対策として大切なのが、町の視線の存在を感じさせることで、窃盗犯が自分の存在=情報があらわになっているような気にさせることです。同時に重要なのが、住み手の情報を犯人に与えないことです。いわば情報戦を制するものが勝つということです。
犯人は不在確認のため、インターホンを鳴らす、郵便物から電話番号を調べ電話をかける、電気メーターを見る等、様々な方法をとります。その対策として「ポストに鍵を付ける」ことや「メーターに扉をつける・隠す」など地道な工夫が求められます。ただし、メーターを奥に配置するとアクセススペースが広がり防御しにくいため、注意を要します。これらの細かな工夫は入口周りへの配慮なのでデザインのしがいはあります。
また、住み手の防犯意識が高いことを知らしめることも有効です。先ほどセンサーライトやカメラの設置が、効果大と書きましたが、さらに工夫を加え、外のライトがついて数秒してから室内灯がつくようにすれば、侵入者はびっくりすることでしょう。
このようにコストをかけずに防犯する方法は、いくらでも考えられます。玄関の鍵一つとっても高さを変えるだけでピッキングはしにくくなります。また、鍵穴を隠せばデザイン上も美しい玄関扉が誕生します。ちょっとした工夫が防犯対策となり、さらに新しいデザインの誕生にもつながるわけです。(つづく)
このコラムの執筆専門家
- 西島 正樹
- (東京都 / 建築家)
- 西島正樹/プライム一級建築士事務所 建築家
一人ひとりの生き方と呼応し、内面を健やかに育む住宅を
家づくりを大切に考えることは、生き方を大切に考えることにつながるのではないでしょうか。一人ひとりの生き方、考え方に呼応してこそ、住む人の心を育む建築空間が生まれます。この世にひとつだけの家づくり。ぜひ、ご一緒できればと願っています。
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