■【ケアゾーン】と【ケアフリーゾーン】
住宅窃盗犯は、自分独自の盗みの方法を確立した専門気質の人が多く、先のことまで予想がつく予定調和の犯行を好みます。いいかえると変わった家は狙わない傾向があります。その意味で「建築家の家はそもそも防犯上すぐれた性能を有している」と言うことができるでしょう。もっともごくわずかですが、世の中には、建築家設計の家を専門に狙う変わり種が存在するのも事実です。(知り合いの建築家で自邸に窃盗に入った犯人とはち合わせ方がいます)。ですから、建築家に頼んだから大丈夫と油断をせずに、守る側としても、さらに技を凝らしていくことは大切です。
具体的な方法をお伝えしましょう。まず、道路から人目に付かない影の部分を【ケアゾーン】と位置づけ、集中的に侵入防止の備えを施せば、効率的な防衛が可能となります。逆に人目に付く場所は、防犯にとらわれず自由にデザインしてよい【ケアフリーゾーン】と言えます。また同じ外部空間でも、玄関廻りやメーター廻りなど外来者がいても不自然でない「アクセススペース」と、住人以外の人がいると不自然な「プライベートスペース」とは、明確に分離することが望ましいです。外来者の制御が防衛の鉄則だからです。また「アクセススペース」は十分に町の目を浴びさせると共に、「プライベートスペース」にも、わずかでも町の目を届かせることで「ケアフリー」に近づけることができる。いわば、町の目を浴びる量と半比例して、重厚に防犯していけばいいわけです。(つづく)
このコラムの執筆専門家
- 西島 正樹
- (東京都 / 建築家)
- 西島正樹/プライム一級建築士事務所 建築家
一人ひとりの生き方と呼応し、内面を健やかに育む住宅を
家づくりを大切に考えることは、生き方を大切に考えることにつながるのではないでしょうか。一人ひとりの生き方、考え方に呼応してこそ、住む人の心を育む建築空間が生まれます。この世にひとつだけの家づくり。ぜひ、ご一緒できればと願っています。
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