女性社員と同行している元々の営業担当者にすれば、そこの社長様とのコネクションにはいろいろ苦労があったようなのですが、今まで時間をかけて積み上げてきた顧客との信頼関係や、自分の営業力とは関係ない次元で、その壁を簡単に超えられてしまったことになります。
本来ならば落ち込んでしまってもおかしくない出来事ですが、男性営業部員はその一件の後、「あんなレベルの者に簡単に超えられるようではダメだ」と発奮し、今まで以上の責任感で仕事に取り組むようになったそうです。
配置転換、職種転換、部署異動などが、本人に大きな影響を与えるのは当然ですが、周りのメンバーや組織にも様々な影響を与えます。このエピソードでは当初の目的とは違った所で好影響となりましたが、同じ状況でも逆に落ち込んでやる気を無くすことなども考えられます。どうなるかは当事者の考え方や性格、過去からの経緯、周りとの関わり、その他無限に近い要素に左右されますから、結果がある程度は想像できても、完全に予測することは不可能だと思います。当然悪い方向へ進むこともあり得るでしょう。
このお話を伺い、私が教訓として感じたのは、人と人との関係においては予測しきれない「化学反応」があるのだということです。過去に失敗していても次はうまくいったり、前と同じようにやったつもりでも今回はうまくいかなかったりします。どうしても見極めきれない要素や状況の変化があるのだと思います。
ではどうすれば良いのか。結局は「何か良くしたければ、とりあえず動いてみないと始まらない」ということになるのではないかと思います。先を見通すことが難しい世の中であることを考えると、“緻密な計画”よりは“動きながら考える”という比重を高めていくことが必要ではないでしょうか。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
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