- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
あの手この手のエージェント、「留学」希望者争奪戦に「田舎の高校なら日本人がいませんよ」が増えているようです。
「留学エージェントなしのカナダ留学マニュアル」に、自分の適性・能力を考え「都会」か「小さな町」の高校かを選ぶ鍵を説明しました。
その中でも、警告していますように、特別な適性を持った方でないと何もない(本当に何もないですよ)田舎で、どこに行くにもホストの車に頼らなければならない寂しい1年間を過ごすようになってします。
日本の制度でも優秀で行動力のある高校生なら、絶対田舎がお勧めですが、そうでない場合は悲惨な留学生活が待っています。
「田舎」のカナダの高校に1年来る予定の高校生からの質問に回答しました。
「カナダはどこに行っても日本人がいるし、地元のカナダ人は小さな時からグループが出来ているので、友達は出来ないし、面白くないと聞きました。本当ですか?」と。
(回答)
カナダにやって来る優秀な日本の若者支援を続けて30年近くになります。
現在居住するカナダの小さな町から「日本人留学生」の実体をご紹介しましょうね。
残念ながら、お聞きになったことは、正に真実を語っていると考えて下さい。
この地域のスクールボード(教育委員会)にも日本の高校から1年の短期滞在で高校生が来ていました。
学校は年間2学期制なので、9月から6月まで滞在する生徒と、冬の2月から翌年の1月(12月に帰った生徒もいましたが)に分かれて数名づつ地元の高校に受け入れられていました。
過去形を使う理由は、現在ここのスクールボードは、それら短期の高校生を斡旋していた留学業者と手を切ったからです。
理由は、ここでの滞在が日本からの高校生のプラスになりそうもないし、地元の学校・町にもプラスが感じられないということです。
送りつけてくるエージェントは、カナダにもある大規模なエージェントで、日本の高校(1年の海外体験を売り物にし、帰国しても学年をダブらせずに卒業させる高校)との契約を結んだり、大規模な宣伝で短期の高校生を送っているところです。
「1年行けば英語はペラペラになり、カナダの大学レベルに達する」と嘘の話で送られ、結局英語はしゃべれないまま帰国した女生徒の相談に乗ったこともあります。 泣きながら話をしてくれた顔が今でも目の前に浮かびます。
英語を話すレベルは非常に低く、発音もカタカナそのものなので、周りのカナダ人に話が通じてないのもとても可哀想でした。
そのエージェントが送ってくる高校生たちの英語力は非常に低く、学校側としては同等の学年のクラスに入れることが出来ません。 教師の負担も大きいし、また入れてもチンプンカンプンで過ごすことになります。
そのため、例えば英語のクラスは隣の小学校で小学生のクラスに入る、数学は日本人だから大丈夫かとひとつ下の学年に入れてみたけどコミュニケーションが出来ないので教師が嫌がる、コンピューターのクラスに入れても教師の指示がわからず、結局ゲームをして時間をつぶす、そんな毎日を送っていました。
ひとり、試しに10年生のレベルの低い方の英語のクラスに入れてもらった生徒がいましたが、とても無理でした。
書いたエッセイを学校に見せてもらいましたが、とてもカナダの高校で通用するものではありません。
せめて勉強のサポートをしてあげたいなと思ったのですが、エージェントとの契約がガチガチで手出しが出来なかったのが残念です。
教育長が聞き取り調査をしたところ「エージェントや日本の高校は、宿題とかしなくていいから適当に楽しんでたらいい」と言ったと話したそうです。
そんな日本人を受け入れても地元の生徒のプラスにならないし、授業料を取ることすら心苦しいと、結局そのエージェントとの関係は希薄になっていきました。
ホームステイもその大規模なエージェントが地元への配慮なく勝手に選びますので、留学生と地元の人たちとの結びつきはほぼありません。
カナダの小さな町で(キリスト教の白人人口が大多数です)社会に入り込むチャンスのない留学生活は悲惨です。
学校とホームステイとの往復のみ。
町は小さいので、遊びに行く所もありません。 小さなスーパーがひとつあるだけ。
仕方ないので、一緒に来ている他の日本人とつるむのがせいぜいです。
地元の生徒たちは、ご心配のとおり、小さな時から一緒に育った仲間同士ですので、結束が非常に固いです。
親同士も仲良しです。 その中に、親元を離れて、英語も出来ずやって来た日本人は、まず入れません。
地元の良い子たちは、声をかけてくれたりするでしょうが、良い子ほど毎日色々な活動と、アルバイト(みんなしてますよ、カナダでは。そのため、みんな精神年齢が非常に大人です。)で忙しいので、わざわざ日本人とつるむことはまずありません。
そんなカナダの小さな町の高校に、しかも短期でやって来る日本人が友達を作ろうとしたら、次の2つを試すこと:
1.ホストファミリーは、地元のリーダー的な家庭で成績の良い高校生の子供がいる家庭を探してもらう。
そうすれば色々な所に引っ張り出してくれますし、ホストシスターが自分の輪の中に入れてくれると思います。
しかし、英語のコミュニケーション能力、そしてカナダの社会の常識は必須です。
2.日本で業績を残した芸術・スポーツがあれば、その活動に参加し、活躍する。
カナダでも芸術・スポーツに優れた高校生は人気がありますので、存在感を出すチャンスとなります。
また、遠征などの活動を通じ、友達が出来る可能性は高いです。
母国語でない環境、文化も考え方も全く違う環境、しかもカナダにしては多様性に欠ける田舎です。
難しいことが非常に多いです。
そこで、友達を含め、少しでも有意義な体験をしたいと思ったら、来る前に必死で英語の国の思考法クリティカル・シンキングを勉強し、準備して下さい。
授業も、エッセイも、テストも、普段の会話も、仮にスポーツに参加しその友達との会話も、すべてその思考法が基盤にあるのが英語の国です。
その準備があるだけで、小さな町の体験が何倍にも生きてくるはずですから。
Good Luck!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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