大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
留学エージェントを使わないカナダ留学マニュアル(1)
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大きな夢を持ちカナダに来る日本の高校生・大学生・社会人のサポートをし25年になります。
25年前からすでに「留学エージェント」は大きな問題でしたが、最近ますます目に余ります。
特に、自分から動くことに自信がなくエージェントにお任せの留学しか念頭にない日本人。
エージェントの勧めるままにお金をポンと払う日本の親に、味をしめた受け入れ側のカナダの学校。
「日本人留学生」を商品としか見ない現在の留学の有り様を、カナダから変えてみようと教育関係者たちとも話を始めました。
長年、日本の若者をカナダから守り続けて来た最終章として、エージェントの罠に陥る悲惨な「留学事例(星の数ほどありますよ)』を根絶やしにする活動に取り組んでいます。
そこで今日のコラムでは、長年の経験と、カナダの教育事情を裏側から見てきた知恵を動員し、これから留学する日本人のためのマニュアルを説明してみます。
まずは、「高校留学」から。
1.カナダを調べるより何よりも先にやること
自分はカナダで何を学びたいのか。
日本ではなく、なぜカナダの教育制度なのかを具体的に、自分なりに理解すること。
また、卒業を目指す場合は(非常に困難です)、その先どんな将来を考えているのか。
例えば、カナダの高校卒業資格を目指して留学するその先には、カナダの大学進学が一番合理的な選択です。
エージェントの甘言「日本の大学に帰国子女枠で!」は、ほぼ到達不能ですから、それも頭においといて下さい。
注意!
「英語がしゃべれるようになりたい」しか動機がない場合は、この1番でしばらくウンウン唸ってみることですね。
1年やそこらで「英語が出来るレベル」にはなりませんので、大きな後悔をすることになります。
また、「英語がしゃべれるようになりたい!」客は、エージェントのおいしいカモです。 どこに送ってどんな留学生活をしようが「英語が出来ない」のは本人のせい。 エージェントの責任ではないので、扱い安い金づるです。
「英語がしゃべりたい!」しか動機が思いつかない人は特に、絶対エージェントの門を叩かないで下さい。
将来への大きな後悔になりますよ。
2.次にはカナダの高校留学事情について、少し学びましょう。
カナダの高校は、各地域のSchool Board(教育委員会)が管轄しています。
受け入れ、地域の高校への振り分け、ホームステイ等も多くの場合、それらSchool Board のInternational Student Program が決めて行きます。
この傾向は、私がサポートを始めた1994年当時はまだまだ良心的で、どうしたら日本人留学生の希望に応えられるかに気を使ってくれていました。
ところが、残念ながら、日本人留学生が文句も言わずに払う授業料が、最高のボロ儲けに見え始めた頃から、日本人に配慮するなどの心遣いは姿を消し、生徒たちをまるで十把一絡げの箱詰めの商品のように扱うようになりました。
(私が最初に仲良くなった場所、バンクーバーから東へ1時間ほどのL 市のSchool Board は、one of the worst の例です。ここは絶対お勧め出来ない場所です。)
日本人側にも非はあります。
日本でうまくいかない。。学校に行けない。。。成績が悪い。。などの、もともと留学は絶対すべきではない生徒たちが、どんどんカナダにやって来てしまいました。
エージェントのバラ色夢勧誘の罪は非常に重いです。
「カナダに行ったらうまく行きますよ!」の勧誘です。
母国語でも、親元でもうまくいかない子供が、外国語で他人と暮らしてどんな結末になるかは、普通に想像すると見えるはずです。
本来、留学生というのは自国の代表です。
留学生のレベルで自国が判断されてしまいます。
非常に残念ですが「日本からの留学生はレベルが低い」というのがカナダの人の判断となってしまい今日に至っています。
これからやって来るみなさんは、まずそこを知っておく必要がありますね。
『自分は違う!』と思う方は、留学後、自分で自分の存在感をカナダ側に見せつけるだけの能力が必要ですよ。
そうでないと、「レベルの低い日本人留学生」のレッテルが貼られ、帰国までそのレッテルは剥がれることはありません。
尊厳を失い、ボロボロになって帰国する日本人が後を絶たないのは、このためです。
3.OK. では今度は、目的と共に、自分の性格、社会性を考えて見て下さい。
大きく分けると、留学先には2つの選択肢があります。
日本人留学生(他国からも)を多く受け入れている都会の高校。
School BoardのInternational Student Program が大きな権限を持ち(稼ぎ頭ですから!)日本のカナダ大使館での留学フェアにもセールスマンを送って来ます。
地域の高校にはESLという留学生向けの英語クラスがあり、そこが日本人留学生がカナダの地元の高校生から隔離され過ごす場所となります。
高校の規模が大きい分、各クラスの人数も多く、英語の出来ない留学生を通常クラスに入れると教師の負担が大きいので、能力が上がるまではESL隔離は続きます。
ESLのインストラクターの質は、当たり外れが激しく、短期採用の場合が多く、心配なところです。
悪いインストラクターに当たると、1日適当に「過去形」などの練習をして終わり、進歩がほとんど見られない状況に陥ります。
経験豊富な良いインストラクターは、生徒個々の能力を把握し、出来るだけ早く通常クラスに合流出来るよう指導してくれます。
都会で、日本人の多い高校は長年このような形で留学生を受け入れていますので、地元カナダ人との間には高い大きな壁がすでに出来上がっています。
つまり、「カナダ人と友達になれる!」期待が叶う可能性は非常に低いです。
ESLに入れられた日本人は、自ずと日本人同士でつるみます。
また、心細い外国では言葉の通じる日本人とつるみたくなります。
(小さな日本人村社会が出来、その中のイジメもひどいと聞きました。)
カナダまで来て、自国の生徒どうしでつるむ留学生は、地元のカナダ人は相手にしてくれません。
良く言えば「放っておいてくれる」のですが、悪く言えば「無視」されます。
取りたいクラスの希望、課外活動への参加なども、規模の大きい高校では、留学生は後回しとなります。
地元カナダ人高校生の親から文句が来るからです。
「留学生」はもともとカナダの高校教育制度には組み込まれていないお客さん的存在です。
(高い授業料を払わされるのはそのためです。)
地元の高校生を優先するのがカナダの高校の方針であり、政府の方針でもあります。
カナダの教育制度で伸ばしたい特別な能力がない場合、芸術・スポーツの分野で日本での大きな業績がない場合、そしてやはり日本人とつるまないと不安な場合、大規模なSchool Board を有する街の高校の方をお勧めします。
エージェントが団体で送り込んだ留学生ではなく、自分から手続きしてやってきた稀有な「日本人高校生」として一目おいてくれると思います。
「え〜〜それはちょっと」と思う方への選択肢は、日本人の数がほとんどいない、小さな町の高校。
School Board が地域の各学校を管轄しているのは都会と同じですが、信じられないほど融通が効きます。
School Board の教育長と直接やり取りし、留学手順を進めることも出来ます。
また、地域の高校の校長権限も大きいですし、ここでも直接の交渉が簡単です。
注意していただきたいのは、最近の傾向として「小さなSchool Board」も留学生Money の恩恵に与らなくちゃ!と、色々始めているケースが多々あります。
無理やりESLクラスなどを作っているところは避けて下さい。
何のために小さな町に留学するのかの意味がなくなりますがから。
ESLクラスで隔離される代わりに、英語能力が低い場合は、低い学年のクラスを取らされます。
ですから、留学前に十分準備をし、留学先高校に「出来る留学生」と思わせることが非常に大切です。
芸術・スポーツ活動も参加を奨励してくれます。
日本での実績があればプラスですが、趣味程度でも地元カナダの生徒に混じり活動することが出来ます。
そのような活動に参加すれば、カナダ人友達を作れる可能性がぐ〜んと上がります。
ただし、知っておいてほしいことは、小さな町の地元の高校生たちは幼い時から仲良しで育ち、その絆は非常に強いです。
親同士の結びつきも強いです。
自分の親がいない外国で、その中に飛び込み、受け入れられ、カナダの高校生と同等な楽しい時を過ごすには、相当の積極性とコミュニケーション能力が必要となります。
また、日本人の数は少ないか、ゼロの可能性もありますので、ホームシックになった時にも周りの人と英語で対処する精神的強さが必須です。
さて、あなたにはどちらの選択肢が向いていますか?
気持ちが固まったら、次回のコラムではいよいよ実際にSchool Board にコンタクトを取る方法をお教えしましょう。
ここまでの内容で、ご質問等ありましたらご連絡下さい。
また『知らなかった! 今留学中ですが後悔しています。」という方もご相談受け付けております。
Talk to you in the next column!
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