【パッシブ発想に基づく省エネルギー住宅−6】・・・パッシプ設備による省エネ対策 集熱
前号までは基本的な自然力の利用についてふれてきましたが、この考え方をさらに進めたパッシブシステムが存在します。
それは日射熱の利用です。冬でも窓から直射光がさすと、暖房なしで過ごせるほど部屋が暖まりますが、この暖かさは日が沈むと急激になくなります。
この暖かな熱を夜までとっておいて有効利用しようということで、いろいろな方法が編み出されてきました。
総称して「パッシブソーラーシステム」と呼ばれますが、どのシステムにも共通しているのが、日射熱を「取り込む(集熱)」「ため込む(蓄熱)」「逃さない(断熱)」の3つの柱から成り立っている点です。
まず「集熱」、すなわち日射熱を取り込むのは大きなガラス面や屋根です。
ただガラス面は室内の熱が逃げる場所ともなるため、複層ガラスにしたり夜は雨戸や厚手のカーテンをしめるなど断熱性能を高める工夫が必要です。
次は、熱をため込む「蓄熱」です。どんな物質でも熱をため込む性能を持っており、ため込む能力が高い物質ほど暖まりにくく冷えにくい特徴を持ちます。
この能力がとても高いのが水ですが、住宅では土やコンクリートが蓄熱材としてよく使われます。
なお誤って夏場に蓄熱材に熱をため込むと今度は冷えにくいためにいつまでも部屋が涼しくならないので、夏は直射光が蓄熱面に当たらないようにしなければなりません。
3つめの柱が「断熱」です。昼間しか取れない日射エネルギーを少しでも逃げないようにすることが大切です。(つづく)
このコラムの執筆専門家
- 西島 正樹
- (東京都 / 建築家)
- 西島正樹/プライム一級建築士事務所 建築家
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