【パッシブ発想に基づく省エネルギー住宅−5】・・・通風・緑・雨水
風は気の向くままに吹いているわけではなく、「卓越風向」といって地域ごと季節ごとによく吹く風向の傾向があります。
その特性を知った上で窓を配置すれば、夏の卓越風は積極的に取り入れることで室内を涼しくし、冬の卓越風は防ぐことで室内の暖かさを失わないようにできます。
次は緑の働きです。緑は雨水を吸収し、周辺の気温変化を和らげてくれます。
土と緑の庭をつくり、そこを通る風を室内に導き入れると、より涼しく感じることができます。
窓先に落葉樹を植えると、夏には茂った葉が厳しい日差しを遮り、葉の落ちた冬にだけ日射熱を室内に入れることができます 。
また、屋上緑化は、水分の蒸発によって夏の日射熱を和らげるとともに、それ自体が断熱材となり無駄なエネルギーの浪費を防いでくれます。
また、雨水に意識を向けることも大切です。
雨水を土に浸透させると、身近な生活環境が潤うだけでなく、緑とともに都市のヒートアイランド現象をおさえてくれます。
また土はためた水を徐々に放流しますので、急激な雨水がそのまま下水に流れる込むことを防ぎ、ゲリラ豪雨に対して効果があります。こういう性能は社会的なエネルギー損失を大きく抑える効果があります。 (つづく)
このコラムの執筆専門家
- 西島 正樹
- (東京都 / 建築家)
- 西島正樹/プライム一級建築士事務所 建築家
一人ひとりの生き方と呼応し、内面を健やかに育む住宅を
家づくりを大切に考えることは、生き方を大切に考えることにつながるのではないでしょうか。一人ひとりの生き方、考え方に呼応してこそ、住む人の心を育む建築空間が生まれます。この世にひとつだけの家づくり。ぜひ、ご一緒できればと願っています。
「マスメディア・コラム」のコラム
Best of houzz 2023を受賞しました(2023/02/16 12:02)
【"推し"の建築家】に選ばれました(2022/02/07 11:02)
TV【突撃!となりのスゴイ家!】で紹介されます(2021/06/11 18:06)
展覧会が再開となります(2021/03/18 21:03)
【温かな照明に包まれるモダンな家】として掲載されました(2019/11/25 18:11)
このコラムに類似したコラム
【パッシブ発想に基づく省エネルギー住宅−7】 西島 正樹 - 建築家(2015/02/24 15:31)
【パッシブ発想に基づく省エネルギー住宅−1】 西島 正樹 - 建築家(2015/02/05 17:35)
これからの建築設計事務所の選び方 齋藤 進一 - 建築家(2022/07/07 00:07)
2025年新築住宅省エネ義務化に向け 齋藤 進一 - 建築家(2021/11/17 07:00)
心地よい省エネ住宅・生活しづらい省エネ住宅 小木野 貴光 - 建築家(2017/03/07 10:33)