【住宅の安全性能を考える】の続編です。
3. シックハウス対策
地震という突発的な災害とは対照的に、長い年月を住み続けていく中で、徐々に高まる危険が住宅には潜んでいます。ここでは3つのことにふれます。まずシックハウス問題、次が住み手の高齢化、最後が建物自体の老朽化と長寿命化です。
まず、シックハウスです。正式には「シックハウス症候群」といい、建材や家具から発生する化学物質やカビ・微生物が室内に発散し、それを吸い続けることで病気になることをさします。症状として、めまい・倦怠感・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などがあり、他の病気と区別がつきにくく、個人差が大きいのが特徴です。
シックハウスを防ぐ対策は大きく分けて、「汚染源そのものを減らすこと」と「建材等で汚された空気を室外に排出すること」の2つです。
「汚染源そのものを減らす」ためには、室内に使う素材を注意深く選ぶことが大切です。ビニルクロスや接着剤、塗料などの人工物が汚染源となるため、国は危険性のある主な化学物質13種について、濃度指針値を示し、使用を制限しています(2000)。これでかなり被害は少なくなりましたが、化学物質は13種以外にも様々な種類があることや、その人の体質によって反応がまちまちなことを考えると、必ずしも万全とは言えません。確実なのは自然素材を使うことですが、コストがかかるため、どの部分に重点をおくかをしっかり考える必要があります。
「汚染された空気の排出」のためには、風通しと計画的な換気が大切です。特に自然の力を利用した風通しは、間取りや断面を考える初期段階から案に組み込んでいく必要があります。これらの対策は、建てた後からだと対策が限られ、また、大がかりになります。住んでいる横で工事をするのでは、ますますシックハウスの危険性が高まりますので、ご注意下さい。
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このコラムの執筆専門家
- 西島 正樹
- (東京都 / 建築家)
- 西島正樹/プライム一級建築士事務所 建築家
一人ひとりの生き方と呼応し、内面を健やかに育む住宅を
家づくりを大切に考えることは、生き方を大切に考えることにつながるのではないでしょうか。一人ひとりの生き方、考え方に呼応してこそ、住む人の心を育む建築空間が生まれます。この世にひとつだけの家づくり。ぜひ、ご一緒できればと願っています。
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