5月末内閣府が東南海地震の被害想定を最悪死者30万人と発表しています。2003年に発表した死者数の10倍の数字です。
最悪と前置きされていますが、30万人は驚愕の数字です。関東大震災で10万人。東京は首都機能を喪失し、大阪の人口が東京の人口を逆転しています。東日本大震災で2万人。阪神大震災で6千人。30万人は自然災害では未曾有の数字です。日露戦争での日本人犠牲者数は5万人。太平洋戦争の民間人犠牲者は80万人で、大日本帝国は崩壊しています。
30万人の犠牲者は、戦争レベルの犠牲者数です。また自然災害で国家が崩壊した例は有史以前を除けば、18世紀にポルトガルで発生したリスボン地震が知られるのみです。リスボン地震の犠牲者は約6万人で、海洋貿易国家としての地位を喪失し、現在に至ってます。
30万人もの犠牲者を出し、その数倍の被災者を抱えて日本は危機を乗り切れるとは思えません。
危機管理能力が政府に無いのは福島原発事故を例に挙げるまでもなく明らかです。
自分が自分達の命と財産を自分達で守ることを考えなければ、この国は破綻します。国が定めた基準に適合しているから、地震には安全と考えるのは大きな間違いです。国が定めた基準にこだわることなく可能な限りの手立てを講じるべきです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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