小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「報連相」禁止
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岐阜県にある未来工業さんという会社をご存じの方も多いと思います。ユニークな経営手法で知られ、同時に高い業績もあげている会社です。
こちらの社内ルールの一つに、「報連相禁止」というものがあるそうです。業務の遂行は自分で考えて自分の判断で進め、上司への報告は必要最小限にとどめる。報告する本人が一番状況を把握しているのだから、即座に自分で判断せよ、ということだそうです。
といっても、社員を野放しにしているわけではなく、「常に考える」という同社の理念に基づいてのことで、1人ひとりが自ら考える自発性を重視したためだということです。
他にも残業禁止、年間休日140日、70歳定年、ノルマや目標もなし、提案するだけで報奨金500円の提案制度など。また給与も「評価の基準もあいまいなのに、成果主義などを入れても社員のやる気は上がらない」との理由で年功序列。成果主義の逆をいく「やる気主義」なのだそうです。
「働く上でいい条件を作れば、社員が頑張り、会社が儲かる。様々な取り組みは、『アメ』作りで、『ムチ』は決して使ってはいけない」ということです。
根底にあるのは徹底した“性善説”と“社員の自律”ということで、私みたいに単純な人間は、このような会社には心から共感してしまいます。
ただ、このような手法を取っていない会社の方が多いこともまた事実。未来工業さんは理想なのか異端なのか、ちょっとわからなくなってしまいます。徹底した自律を求めているというは、ある意味では厳しいといえますし、人に自律を促すには、かなりの時間と忍耐が必要です。
また、目新しい制度ばかりがクローズアップされますが、表から見えないところでは地道で細かな取り組みや働きかけ、それらの絶妙な組み合わせがあるのだろうと思います。
やはり、ただマネをしてもダメだろうと思いつつも、このようなエッセンスは少しずつでも活かしていきたいものです。
人というのは気分で動くもの。ほんのちょっとのことで大きく変わります。何の元手もいらないで工夫できることがたくさんあります。
「やる気主義」などと言われると、私の志向している取り組みとまさにドンピシャなので、私もできることから工夫して、やる気があふれる企業風土作りをお手伝いしていきたいと思います。
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