小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ映画館の子供たち
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うちの子がまだ幼稚園か小学校低学年の頃なので、もうずいぶん前になりますが、子供を連れて映画館に行った時の話です。
映画が始まる前に子供をトイレに連れて行ったのですが、トイレの入り口でドアを押さえて待っている小学3、4年ぐらいの男の子がいました。ずいぶん前から押さえているので、誰か知り合いでも通るのかと思っていたら、うちの子供が通るのを確認してドアから手を放し、向こうへ行こうとしています。どうもうちのチビが入ってくるのを遠くから見ていて、待ってくれていたようです。「あれ?うちの子に・・・」とちょっとびっくりして「どうも有難う」と声をかけましたが、男の子は照れ臭かったのか、目も合わせずに行ってしまいました。
その後、席に座って映画が始まるのを待っている時、一つ前の列に中学生ぐらいの女の子たちのグループがやってきました。一人の子が席に座ってすぐに振り向き、後ろに座っていたうちに子に「ちゃんと見える?大丈夫?」と声をかけてくれました。「大丈夫だよ。有難う」と私が言うと、彼女たちは仲間同士で「あっ、でもあんたの方が背低いから場所変わろうよ」などと気を遣ってくれました。
よく「今どきの子は・・・」などと言われますが、こんなに良い子たちが沢山いるんだと、その当時、とても感心、感激したのを覚えています。人の様子を気遣い、実際に行動に移すというのは、大人でもできるようでなかなかできないことですが、そういう事をきちんとできる子供たちがいるのです。「今どきの子も捨てたもんじゃないな」と思ったのを覚えています。
できる子とできない子で何が違うのか、確かなことはわかりません。親の教育、学校の指導、本人の能力や性格、その他の周辺環境など、いろいろ考えられるでしょう。
一つだけ確かなのは、決めつけやレッテル貼りだけはすべきでないということです。「どうせ今どきの子は・・・」という大人の先入観で、子供たちの能力や才能の芽を摘んでいることが沢山あるように思います。
企業人事に関わる立場で考えてみると、実は会社のような大人の世界でも同じように、決めつけやレッテル貼りが人の成長を妨げているのかもしれません。
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