小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「社内研修の効果測定についての善し悪し」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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社内研修の効果測定についての善し悪し

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 お勧めの取り組み 2009-04-27 00:00
 社内研修を企画したり実施したりする立場の人であれば、「客観的に計れる効果測定をしろ」というテーマを与えられることは良くあるのではないかと思います。特にこれから研修に力を入れていこうと考えはじめている企業や、新たな内容の物を計画しようとする時に、そのようなテーマが出てくる傾向があります。

 実際に効果測定を行うとなった時、その方法は結局限られていて、「事前事後の差を比べる」、もしくは「実施の有無での差を比べる」しかありません。
 問題は差の比べ方で、これが資格講座やスキル研修ならば、合格率や合格者数、ペーパーテストの点数など客観的に見える数字の差を比べるのでしょうが、リーダー研修、マネージャー研修といったマインド面も含む研修だと、数値で示すことはなかなか簡単には行きません。何らかのテストや風土調査で点数を比較したり、アンケートなどでニュアンスの違いを比較したりということになるのだと思いますが、本当に意味がある結果が出てくるのかは疑問です。調査する人の立場や考え方などによって、その人たちの価値観に合う都合が良い解釈の評価になる可能性があるからです。

 また「事前事後の差」の場合はまだしも、「実施の有無での差」の場合は母集団の違いという問題もあります。研修を受けていない優秀な集団と研修を受けた出来の悪い集団を比較しても、参考になる結果は得られないでしょう。客観的とか定量的とか言われても限度があるのです。
 さらに、このような効果測定を行おうとすると、概して多大な労力がかかります。その割に意味がある結果が得られないとなれば、やるだけ無駄ということになります。

 私は研修の効果測定は、徹底的に主観でよいのではないかと考えています。個人による受け止めの差、価値観の差、人生経験など背景の差、時間軸の差など、簡単に比較できない要素があまりにも多いからです。
 決して効果測定が不要といっているわけではありません。「アイツ最近ちょっと変わってきたね」とか「何となく雰囲気が変わってきたね」、「前より話す頻度が増えたね」といった感覚、印象、空気感といった事で十分なのではないかということです。

 「主観」も多く積み重なると「客観」になっていきます。あえて客観、定量にこだわることを止めてみると、無駄な労力を使わず、逆に価値がある情報が得られるのではないかと思います。
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