小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「管理職になりたくない」の気持ちを変えられるか」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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「管理職になりたくない」の気持ちを変えられるか

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 お勧めの取り組み 2024-03-20 21:31

 このところ発表されている様々な調査の結果によれば、「管理職以上に昇進したいとは思わない」という人が増えているといいます。その理由としては、「業務量が増えて長時間労働になる」「責任が重くなる」「部下を管理・指導する自信がない」などが挙げられています。

 結局は「大変そうなわりにメリットが少ない」と思われている訳です。

 

 また、特に女性では「普通に働きたい」「家族との時間が大事」と考える割合が高く、将来の管理職が期待される「総合職」ではなく、あえて「一般職」を選ぶ人が増えているとの話もあります。「2030年までに女性管理職比率を3割に」という目標がありますが、当事者の心理はこれに逆行しています。

 女性管理職の場合、仕事とプライベートのバランスが取れた事例モデルがまだまだ少なく、「バリキャリ(バリバリ働くキャリアウーマン)でないと務まらない」というふうに見えてしまうのでしょう。

 

 私が実際にいろいろな会社を見ていて感じるのは、「楽しそうに仕事をしている管理職」「やりがいを感じていそうな管理職」を見かける機会が少ないことです。労働時間が長く、仕事量が多く、上司と部下の間に挟まり、みんな何となく疲れた顔をしています。部下たちはそんな管理職に同情的で、協力的でもありますが、その姿を見ていて同じ立場になりたいとはなかなか思えないでしょう。

 この状況を変える方法があるのかを少し考えてみて、一番良いのは、「管理職がみんなやりがいを持って楽しく働いている姿を見せること」ですが、それはあまり現実的とは思えません。

 

 これはある調査データですが、上司などに説得されて「やむなく管理職になった人」は、男女合わせて2割から3割いるそうです。そして、管理職としてリーダーの立場になった後に、「リーダーになってよかったと思う人」は、7割前後と高率だったそうです。

 リーダーであれば仕事に関する自分の裁量は増えるため、実際になってみると「意外に悪くない」と感じているようです。ここからすれば、「試しにやらせてみる」「拒否しても説得して経験させてみる」というのは一つの方法になるでしょう。

 

 また、もう一つは組織形態や運営に関することです。最近の若い世代は、お互いの関係があまり階層化されていない、フラットな集団の中で過ごしてきています。良くも悪くも合議制で、できるだけみんなの合意のもとに物事を進めようとします。

 ここでリーダー的な存在はいますが、一人で前面に立つというよりは、みんなの意見のまとめ役であったり、調整役であったりします。例えば、サッカーの試合でのゲームキャプテンのように、選手の役割をこなしつつ、その試合の中でチームの中心的存在でいるような人で、それは精神面と技術面の両方があります。上下に挟まれるとか、負担を一手に引き受けるような存在ではありません。

 このような自分たちが経験してきたリーダー像と合致する管理職であれば、少なくとも「自信がない」という部分は軽減できるでしょう。

最近は、組織階層をフラットにして上下関係を緩やかにしたり、一方的な指示命令を排除したり、組織の意思決定に社員を参加させたりする組織運営をおこなう会社が出てきています。こうした考え方を取り入れることも一つの方法でしょう。

 

 私も今の管理職全般の仕事ぶりを見ていて、それをやりたいかと言えばあまり気が進みません。負担の割に権限がなかったり、一方的に責任を負わせる丸投げが多かったりするからです。

 私の周りには、中小企業の経営者や役員、自営業者や個人事業主といった人が大勢いますが、この人たちのほとんどは、仕事を介した夢や希望、やりたいことを明確に語ります。苦労があることが見える半面、同じようになってみたい、真似したいと思うこともたくさんあります。

 

 企業の中の管理職も、部下にとってそんな存在になることが一番ですが、今の環境のままでは少し難しいのかもしれません。

 

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