小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「誰がやっても変わらなそうな「雑務」で見える仕事能力」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
ユニティ・サポート 代表
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誰がやっても変わらなそうな「雑務」で見える仕事能力

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2023-07-12 18:36

 仕事の中には「雑務」と言われるものがたくさんあります。

 「雑務」の定義を調べると、「本来の業務とは直接関わらない細かいこと」「種々雑多な事務」などとあります。書類作成とか、職場の清掃作業とか、その他単純作業のようなものを指していることが多いでしょう。イメージとしては、「誰がやっても結果が変わらない仕事」「付加価値を生み出さない仕事」という感じではないでしょうか。

 

 経営者をはじめ、管理職など組織内で上の立場にいる人は、できるだけ「自分でなければできない仕事」に集中すべきとされ、誰がやっても変わらない「雑務」は、できるだけ部下にやらせるべきだと言います。

 実際に「雑務」のようなことばかり関わり続け、本来やるべきことをおろそかにしている経営者や管理職を見かけることがあります。自分の役割、立場、本来やるべきことをよく考える必要があるのは確かです。そもそも付加価値を生み出さない仕事に高い給料は払えませんから、一般的に高給の上席者が「雑務」に時間を割かれるのは好ましくありません。

 

 ただ、誰が会社の中の「雑務」をやっているかを見ていくと、意外に経営者や管理職がやっていることが多くあります。中小企業では特にそうで、何人かの社長に話を聞くと、社員はみんな定常業務を持っていて時間的な余裕がなく、最も臨機応変に動けるのが実は社長だったりするので、雑務を担うことが意外に多いそうです。

 

 先日オフィスの引っ越しをしたある会社は、業者選定などお金が関わること社長自身がやり、それ以降は社員に任せようとしたものの、できる社員がおらず、備品の廃棄や購入、実施スケジュールの調整や社員に向けた随時の事務連絡、その他細かい段取りなどをすべて社長が取り仕切ったと言っていました。

 日常業務でも、数値の集計や報告書類の作成といったことは、管理職の仕事ということが多いですが、これも付加価値を生み出すわけでは定型的な事務処理なので、やはり「雑務」の一種です。偉くなったから「雑務」をしないというのは、なかなか難しいことです。

 

 私が見ていて思うのは、経営者らしい、管理職らしい仕事をして、その役割を果たしている人ほど、「雑務」のような細かい仕事も緻密で丁寧にこなしていることです。他の人に引き継いでもわかりやすく整理整頓されていて、ミスがほとんどありません。仕事の性質上、確かに付加価値は生みませんが、引き継ぎの停滞や手戻り、作業の重複などが起こらないので、仕事の効率を阻害しません。

 

 一方、「雑務」を文字通り雑に扱う人は、その他の仕事がすべて同じように雑な傾向があります。結果として顧客からの評判があまりよくなかったり、社内で今一つ信頼されていなかったりします。

仕事上の成果がそれほどでないことも多く、成果があったとしても、周りからのフォローや尻拭いを数多く受けています。しかし本人はフォローされているという自覚がありません。

 

 こうやってみていくと、「雑務」がきちんとできない人に、「自分しかできない付加価値を生み出す仕事」はできません。

 仕事能力というのは、「雑務」のような基礎的なところから見えるのではないでしょうか。

 

 

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