小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「その「報告書」「社内資料」「会議」は本当に必要か?」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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その「報告書」「社内資料」「会議」は本当に必要か?

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2021-11-18 07:00

 これはどの会社ということでなく、私が今までいろいろな会社を見てきた中で、本当に「どこでも普通に起こっていること」です。

 

 私がコンサルタントとして、人事制度を初めとした組織運営や人に関する仕組み作りを行う際、その会社ですでに運用されている制度や仕組みの状況、その他社内の事務手続きなどを必ず確認します。

 その理由は、新しい仕組みを入れようとしても、すでに多くの仕組みや決まり事があるために、新たなものを運用する余力がないという場合があるからです。

 例えば人事制度としてはごく一般的に必要な手順でも、他に運用されていることへの労力が大きいと、必ず手抜きや形骸化という現象が出てきます。

 こういうことが起こりやすい会社を見ている中で、その共通点の一つとして「報告や事務作業、その他社内手続きのルールがやたらたくさん存在する」ということがあります。

 

 例えば、ある会社では「営業報告」が日報、週報、月報という単位で存在していて、日報はその日にあったことの覚書のようなもの、週報は一週間の活動報告、月報は受注実績など数字の取りまとめといった具合に分かれています。確かに書かれる内容は少しずつ違っていて、それぞれ意味はあるのでしょうが、重複しているところもかなりあります。

 

 「勤務報告」では、多くの場合は一か月ごとに、就業時間や休暇申請、交通費の精算といった給与計算にかかわる事務報告をします。

 「残業申請」で、長時間労働を防止するための管理をしています。月単位なのか、週単位なのか、それとも毎日のことなのかは、その時の会社状況によって変わり、残業時間数の累積状況によって手続きが分けられています。

 

 社内で何か事務処理上の不備や、情報伝達の不備、顧客クレームや品質問題といったことが起こると、それを防止するという名目で「管理帳票」や「チェックシート」が導入されます。もぐらたたき的にその事象だけを防止する目的で、単機能のものが多かったりします。

 

 「連絡票」や「伝言メモ」といったものの記載が、日常業務の中でのルールとして義務化されています。しかし、それらはすっかり形骸化していて、それを活用する社員はほとんどいません。それでもいざやめようとすると、なんだかんだと難しいそうで、ほぼ無意味なままで継続されています。

 

 ほかにも社内ミーティングがあればそのための資料、定例の報告会があればその都度の報告資料などが必要になります。一部だけ参加メンバーが違ったり、ちょっとずつ主旨が違ったりするので、似たような資料を何度も作らなければなりません。

 

 こうやって挙げただけでも、「上司や関連部署に情報を伝える」「必要と思われる情報を共有する」という社内事情だけのために、ずいぶん多くの時間と労力を使っていることがわかります。

 ではこれらが会社や上司にとって絶対必要かというと、そうでもない部分がたくさんあります。

 

 報告や資料がきちんと読まれた上で、それに向けた対応がされていれば意味はありますが、そこまで確実に実行されている例はそう多くはありません。

 上司はわりと軽い気持ちで、あまり価値があるとは思えない資料を部下に要求しているような場面を見かけることがよくあります。部下たちが資料作成に時間をかけて、その時間に見合うだけの価値を生み出しているのかはよくわかりません。

 

 私はこれらのすべてが無駄だと言っているわけではありません。惰性になっているもの、機能が重なっているもの、手間がかかるわりには意義が少ないものが、多数混じっているのではないかという指摘です。

 

 このあたりは、関係者が常に問題意識を持っていないと、意味があるのかわからないような慣例がどんどん積み上がっていってしまいます。特に日本企業では形骸化が進みやすいところが見られ、一度始めてしまうと途中でやめるのが苦手なようです。

 

「その“報告書”“社内資料”“会議”は必要なのか」をしっかり考えていないと、本当に必要なことをおこなう余力がなくなります。

 新たな取り組みを始めるためにも、無駄なことに力を使っていないかを常に考えておく必要があります。

 

 

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