小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「一流アスリートたちから感じる「客観視」する能力の高さ」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
ユニティ・サポート 代表
Q&A回答への評価:
4.7/75件
サービス:4件
Q&A:193件
コラム:842件
写真:0件
お気軽にお問い合わせください
03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

一流アスリートたちから感じる「客観視」する能力の高さ

- good

社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2021-05-25 07:00

 これは、個人的に感じていることなので、正しいかどうかはわかりませんが、最近の一流アスリートたちのインタビューで、その受け答えが以前とは少し変化している気がしています。内容がとても分析的で、具体的な話をする人が多いのです。

 

 昔よく見かけた「気合で」とか「集中して」とか「気分を上げて」とか、ただ「頑張ります」といったことではなく、自分の体の状態やメンタルの状態、勝つための課題やポイント、ゲームの読みや勝負どころなどを、自分の強みや弱み、データ的な根拠なども含めて客観的に話します。的確に言葉で表現するのがもともと得意だったのか、それとも訓練の結果なのかはわかりませんが、話す内容がとても論理的です。

 上位に食い込むことが多い一流のアスリートほど、自分のプレーを解説者のように客観的に振り返って評価している印象があります。

 

 これは、まだ現役に近い引退したばかりの元アスリートにも同じ印象があります。その道を究めた人たちだから当然かもしれませんが、筋道を立ててわかりやすく、論理的に話せる人が多いことに感心しています。

 

 この10年くらいだと思いますが、アスリートのインタビューを聞いていて、よく出てくるフレーズに「楽しむ」という言葉があります。もちろん今でも「試合を楽しむ」とか「雰囲気を楽しむ」とか、中には「プレッシャーを楽しむ」などという言葉は出てきますが、以前は「日常の延長で」「普通の気持ちで」など緊張を回避したいニュアンスが強かったのが、最近は自分の状況を客観視して適切な目標設定をしたうえで、競技自体を「楽しむ」と言っています。ニュアンスが変わってきていると感じます。

 

 この「楽しむ」という言葉は、新卒採用や若手社員との会話でもよく出てきます。

 例えば、若手社員に「会社はどう?」「仕事はどう?」などと尋ねると、「楽しいです!」という答えが返ってきます。「面白い」でも「慣れました」でも、「難しい」でも「大変です」でもなく、「楽しい」「楽しむ」なのです。

 

 私自身はこれまでの仕事経験の中で、そこまで「楽しい」と表現できることは見当たらなかったので、初めに聞いた頃は結構な違和感がありました。それを緊張回避という視点で見ると、本来はつらい場面が含まれていると思われる仕事、研修、自己啓発などに対して「楽しい」と表現をしていると感じました。アスリートがプレッシャーを回避したいニュアンスと同じものです。

 

 そもそも「楽しい」というのは主観的な言葉で、人によって楽しいことは違います。

 ここからは私の想像ですが、以前は緊張や不安を抑えることや、自分の感情をコントロールして落ち着くために、「楽しい」と自分に言い聞かせていたように思います。メンタルコントロールのために、あえて「楽しむ」という言葉を使っていたのではないでしょうか。

 そして最近そのニュアンスの「楽しむ」が減ったのは、自分を客観視する能力が高くなって、メンタルでも同じことができるようになってきたからではないかと思います。

 例えば、「自分は緊張するとこんな反応になる」「こういう時に緊張状態になりがちである」など、自分の陥りがちな傾向を具体的に把握していて、それに対して「こういう時はここに注意する」「こうやって落ち着きを取り戻す」など、コントロールする方法の引き出しを数多く持っています。

 

 レベルアップのために「客観視」する能力が大事なのは、ビジネスの中でも同じです。ただ、アスリートの進歩と比べて、ビジネスの世界はまだまだ遅れています。気合や根性論、滅私奉公や長時間労働など、成果を生む根拠がない主観による行動が、まだまだ多く見受けられます。

 

 「客観視」する能力を高めることは、どんな場面でも共通して求められています。

 

カテゴリ 「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム

カテゴリ このコラムに関連するサービス

対面相談 【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断

中小法人限定で当事者には気づきづらい組織課題を社員ヒアリングで診断。自社の組織改善に活かして下さい。

料金
無料

組織の課題は、当事者しかわからない事とともに、当事者であるために気づきづらい事があります。これまでの組織コンサルティングで、様々な組織課題とその改善プロセスにかかわった経験から、貴社社員へのヒアリング調査によって組織課題を明らかにし、その原因分析や対策をアドバイスします。予算がない、依頼先を見つけられないなど、社外への依頼が難しい中小法人限定です。社員ヒアリングのみで行う簡易診断になります。

【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断
プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム