小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ8時間労働で集中できる時間数とは?
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一般的な会社では、おおむね1日8時間が標準的な労働時間です。実際にはさらに数時間の残業が恒常的にある人も大勢いるでしょう。
ただ、人間が集中を持続できる時間というのは、これより圧倒的に短いという話を耳にしたことがあります。自分の感覚と照らしてみても、集中できる時間には、何らかの限度があると感じます。
では実際に、人はどのくらいの時間ならば集中できるのでしょうか。
これにはたぶん個人差があるでしょうし、そもそも「集中している」という状態はかなり主観的な感覚なので、一概には言えないところでしょう。
いろいろ調べている中で、このあたりをアンケートした調査結果がありました。
それによると、「平均して1日に何時間ぐらい集中できていると感じますか?」という質問に対して、「5時間以上」と答えた人は13.3%と少なく、「1時間以上~3時間未満」という答えが46.2%と最も多く、次いで「3時間以上~5時間未満」が30.4%、「1時間未満」と答えた人も10.1%でした。職場環境ほかの問題はあるにしろ、平均的な労働時間8時間に対して、集中できる時間数はかなり短いことがわかったとのことでした。
もし集中できる時間の平均値が4時間だとすれば、残りの4時間は集中しなくてもできる作業をしているか、もしくは仕事らしいことはせずに休憩している、またはサボっているということになります。逆から考えれば、集中した4時間を生み出すには、合計で8時間が必要だということもできます。
ここにはさらに残業時間がプラスされるわけですが、疲労も増してくる残業時間帯の中に、集中した時間が多く含まれているとは考えづらいでしょう。
会社に普通に出社していれば、この上に通勤時間などが付加されてきます。例えば満員電車でできることは限られるので、そのすべてが集中できる効率的な時間ということはないでしょう。
こうやって見ていくと、無駄にしているような時間がずいぶん多いということに気づきます。もっと効果的、効率的に使えそうな時間がたくさんあるにもかかわらず、特に日本企業の長時間労働はなかなか改善されません。
集中せずにできる作業の中には、ITで効率化したり作業自体をやめたりできるものがあるはずですし、少しの工夫でできることは、まだまだたくさん考えられるでしょう。
もしも4時間でできる仕事に8時間かけているのだとすれば、そのペースで動いている社員が大半だとすれば、生産性が低いと言われてしまうのは、仕方がない当然のことだと思います。
まず必要なことは、その仕事に対する適切な所要時間見積もりと、集中できる時間を増やす環境づくりではないかと思っているところです。
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