小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「丁寧に育てれば成長は遅くなり、成長を急げば雑になる」という話」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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「丁寧に育てれば成長は遅くなり、成長を急げば雑になる」という話

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え 2020-07-07 08:00

 今年4月に入社した新入社員は、新型コロナの影響で出社することもままならず、自宅待機が長くなったり、新人研修がすべてリモートになって孤独感を持ってしまったり、苦労をした人がかなり多かったと思います。

 新入社員たちをまず初めに受け入れ、新人研修を担当する人事部門では、毎年いろいろ工夫をしながら研修カリキュラムを企画していますが、今年は例年にも増して、様々な困難があったことでしょう。

 

 新人研修でやらなければならない内容というのは、結構多岐に渡っています。時間と予算には制約があり、新人研修以降もOJTを中心とした研修や指導は続いていきますから、そことの関係性も考えなければなりません。

 また、身についたことには当然個人差がありますから、一人一人の様子にも注目しなければなりません。

 

 昔から「研修体制、教育体系の充実」を会社選びの条件に挙げる人はたくさんいて、育成環境が整っているに越したことはありませんが、そもそも会社として用意できる研修体制は、会社規模によって大きな差があります。一般的には大手企業の方が環境は整い、中堅中小企業ほどそれを作ることが難しくなります。

 

 そうなれば、当然大手企業の方が「成長速度」は早いだろうということになりますが、ある大手企業の社員座談会の紹介記事の中で、この「成長速度」に関する話が取り上げられていました。

 その会社は、社員を非常に大事に丁寧に育てるそうで、少しずつ着実に成長していけるように、脱落などはしないように、仕事の内容、期間、難易度などを考えてながら、配置や業務指示をしていくそうです。

 しかし、丁寧であるがゆえに、いきなり大きな仕事を任されるようなことはなく、一つのことを担当する期間も比較的長く、結果として「成長速度」は遅くなりがちで、丁寧に育てられている有難みを感じつつも、他社の同世代に遅れをとっていないか不安だといいます。

 

 これがベンチャー企業のような環境であれば、たいして教えてもらえないまま、いきなり仕事を丸投げされたり、教わろうにもそういう人材がどこにもいなかったり、仕事の指導としては雑な対応をされることが多々あります。

 こういうやり方では、当然ついていけない人や脱落者が出てきてしまいますが、反面ではそんな環境に置かれることで、若くして重要なポジションを占めるようになるなど、「成長速度」が早くなることもあります。

 

 順を追って丁寧に、脱落したり辞めたり、メンタルダウンを起こしたりする人を極力出さないように育てようとすれば、「成長速度」はどうしても遅くなりがちです。本当はもっとできる可能性がある人でも、全体の中に埋もれてしまうでしょう。

 

 反対に、多少の無理はあってもどんどんチャンスを与え、苦労してもとにかく自分でやってみる経験をさせていくと、「成長速度」が早まる可能性が生まれます。ただし、それについて来られる人とそうでない人は必ずいて、成長度合いに格差がついてしまうことも考えられます。企業の人材育成という点からは、雑だと見られても仕方がないでしょう。

 

 こういう育成方法に関する話は、他にもよくあることで、例えば外国語を学ぶために、まず語学学校に行くか、いきなり外国に行ってしまうかの違いであったり、泳ぎを教えるのに、始めは浅いところで浮き具を使いながら徐々にということと、いきなり水中に突き落としてしまうこととの違いであったり、それぞれ似た話のように思えます。

 

 ではどうすればよいのかを考えると、結局は両方のやり方が必要になります。

 その人の状況を見ながら、ある時は簡単なもので慣れさせ、またある時は大きな役割を与えてプレッシャーをかけ、集団でやらせることと個人でやらせることのバランスを考え、そんな押したり引いたりを繰り返しながら育てていくということになるでしょう。

 

 企業内の人材育成では、最近は個々のパーソナルな要素に注目することが大事だと言われるようになっています。一人一人に合った指導をしていくことが、最も「成長速度」が速くなるということです。

 しかし、そうは言っても、そこまで手をかけられない会社がほとんどでしょう。

 「丁寧に育てれば成長は遅くなり、成長を急げば雑になる」というジレンマには、常に向き合っていくしかないのだろうと思います。

 

 

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