小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「間違いをなくすため」「能力を知るため」に手書き?」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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「間違いをなくすため」「能力を知るため」に手書き?

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2020-05-19 08:00

 新型コロナにかかわる給付金や補助金の申請で、件数の多さやシステムの不備、整備の遅れなどから、いろいろ混乱しているようですが、少し前に同じような公的申請の手続きに関して、知人から聞いた話です。

 ある許認可に関する申請書類を準備していて、質問をした役所の窓口でこんなことを言われたそうです。

 「書式は電子文書で提供されていますが、中身をしっかり確認しながら書いて頂くために、必ず手書きしてください」


 そう言われても、本当に手書きの方がしっかり確認ができるのか、間違いが無くなるのかということ自体がそもそも疑問ですし、それが役所全体の指導方針なのか、それとも担当者の個人的な考えなのか、その点もよくわかりません。

 今の時代に「必ず手書きで」などと言われてしまうと、かなり違和感を持ちますが、少なくとも窓口の人は、それが好ましいと思っているのは確かです。


 同じように「手書きか否か」の議論をされるものに、“履歴書”があります。今でも「手書きの履歴書」を要求する会社は、採用の現場ではまだまだ結構多いです。

 そういう会社で必ず言うのは、「書いた字にはその人の性格が表れる」ということです。それが選考の上での重要な判断材料になるといいます。


 私の経験でも、そういう部分がまったくないとは言いません。ある応募者の履歴書で、自宅住所の漢字が間違っていたことがありましたが、後でおこなった筆記テストでも結果が悪く、基礎能力を判断する材料にしたことがありました。

 これは「手書き履歴書だったから判断材料が得られた」ともいえますが、それは「筆記テストでわかること」でもあります。


 ここで、例えば「字がきれいの人の方が仕事能力が高いか」といえば、必ずしもそうではありません。心理学用語で「スキーマ」という言葉があり、「無意識のうちにしてしまう、ある決まった物の見方や考え方」をいいますが、結局はそれに近いことです。要は「ある価値観に基づいた思い込み」ということです。


 私は、今の時代にあえて手書き資料を要求する必要は、もう無いと思っています。

 履歴書の話で言えば、例えば就活中の学生は多くの会社に応募するので、履歴書をその都度手書きするのは、思いのほか大変な作業です。修正液などを使ってはいけないと言われ、少しでも間違えれば一から書き直しです。


 「それくらいの手間を惜しむ人には応募してほしくない」という社長や採用担当者がいましたが、自社にとってはたった一枚のことであっても、学生は応募する会社の数だけ書かなければなりません。昨今の就活は、他にもエントリーシートなど書かなければならない書類がたくさんあるので、作業はさらに大変です。

 会社が手書きにこだわっても、そこから得られる情報は「字がきれいか」「誤字脱字がないか」程度のことで、手書きが多い業務内容でもない限り、重要な意味はありません。

 前述の窓口担当者がいう手書き書類の話も、結局は思い込みに近いもので、そんなことに他人の大切な時間を使わせるのは、無意味で失礼だと思います。


 手書きには手書きの良さがあり、必要な場面は確かにあります。ただしそれは、場面に応じた使い分けがあり、非効率で不要な場面がたくさんあります。その区別はよく考えなければなりません。

 それが事務的な書類の場合、手書きである意味はまったくないはずです。



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