小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「あらためて「人材採用は投資である」ということ」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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あらためて「人材採用は投資である」ということ

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え 2019-07-02 08:00

 いろいろなところで人手不足の話を聞きますが、それに向けた採用活動を行っても、なかなか思うように人が採れないのが最近の状況です。

 

 人を雇うということについて、ほとんどの経営者がそれに対する責任の大きさという話をされます。

 どんな会社でどんな仕事をするかということは、その人の人生を左右する大きな問題ですし、経営者の側からすれば、人を雇って事業を行うということは、本当に大変なことです。

 ほぼすべての経営者は、そのことを自覚して、相応の責任感を持って採用活動をします。

 

 ただ、社員を採用することについて、その責任感は語られても、それが会社にとって相当大きな投資であるということを、表立っていう人は意外に少ない印象があります。

 

 「採用は投資である」ということで考えると、一人の社員が新卒で入社して定年まで勤める際の生涯賃金が2億円などと言われますから、一人の社員を採用するということは、2億円の物件を、40年以上のローンで買っているのと同じことです。

 会社の都合で途中解約(解雇)することは原則としてできませんし、途中で売ってお金に替えることもできません。一方、相手からの途中解約(退職・転職)の可能性は、常に付きまといます。

 人材は、投資と回収のバランスがとりづらく、会社が損を被る可能性も多い、きわめて難しい投資物件です。

 

 3年以内に辞めてしまう新入社員が30%と言われますが、これは新人でもすぐに自分の給料分くらい稼いでくれるような業態でない限り、必ず先行投資をしている分があるので、早々に辞めてしまうということは、投資効果としては確実に失敗です。

 退職者が出たから、人員補充をしなければなどとはいいますが、例えば1年ごとに3人の人が交代で勤務するのと、3年間一人の人が働くことで、投資効率が全く違うということは、あまり言われません。

 

 熟練に時間を要するような仕事は、定着性が高い人でないと、投資としてはリスクが高いですし、すぐに身につけられるような仕事であれば、短期的に投資を回収することが可能ですから、あえてそこにこだわる必要はありません。このあたりの線引きは、「採用は投資だ」という意識がなければ難しいことです。

 

 ただ、そこまでの意識を持って人材採用を考えている会社は、あまり多くないというのが私の実感です。多くの会社で、ある程度の問題意識はあるものの、それほど深刻にはとらえていない感じがします。

 そもそも、経営者が採用に関与しないこと自体がそうですし、採用担当者でそういう意識のある人がどれほどいるかと考えると、そこまで望むのは難しいところでしょう。

 

 なぜそう思ったかというと、最近はいろいろな会社で、わりと若手の採用担当者が、あの人は良いとかダメだとか、そんなことを言いながら採用する人材を選別する様子を見かけることが多くなったからです。高価な投資物件なのに、ずいぶん安易な買い方をしていると思ってしまったのです。

 

 人材を単純にお金に換算することは難しいですが、相当に高い買い物だということは、もっと意識しても良いように思います。それが意識されれば、ブラック企業のように社員を粗末にする会社も、きっと少なくなるでしょう。

 

 「人を採用する」ということは、本来はそれほど大変で難しいことだと思います。

 

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