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小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ
(
東京都 / 経営コンサルタント
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「派遣切り」のその先にあるもの
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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集
私の思い・考え
2008-12-29 00:00
しかし、一方的に企業側を責めても、どうしようもない部分があるのは理解できます。派遣労働の仕組みがあるおかげで、今までなら失業者になってしまっていた人も、仕事を得られていたという話があります。なるほどそんな面もあるのかなと思います。正社員を過度に保護しているから、シワ寄せが一方的に非正規社員に向かってしまうと言う話もあります。確かに、害は無いけど大して何もしていない年収一千万円超の管理職なんていうのは、あちこちにいます。この人達を適正賃金に調整できるなら、救える人達もいただろうと思います。法整備やセーフティネット構築など、政治の問題も大きいと思います。
でも一つだけ、どうしても納得できない企業側の主張があります。このような雇用調整は、グローバルな基準では当たり前だと言う話です。従業員の雇用より会社の維持を優先するという、株主優先の考え方だそうです。雇用調整をする一方で、内部留保を積み上げ、増配を予定している会社もあると聞きます。
私が考える「株主」というのは、出資者、投資家です。会社を育てるためにお金を出している人もいるでしょうが、多くは手持ちの資金を投資して、不労所得を得ようと言う人たちで、直接働いてくれる従業員とは違います。当然生活資金を投資しているわけではありませんから、金銭的に余裕がある人達で、社会的弱者ではなく一種の富裕層です。株主優先で雇用調整を行うということは、富裕層を優先して弱者を切り捨てていることになります。
「企業は社会の公器である」と言いますが、ステークホルダー(従業員、取引先、顧客、株主といった利害関係者)に対してバランスを欠いた企業活動は、企業が社会的責任を果たしておらず、社会正義として考えた時、私にはどうしても許せない価値観です。
「派遣切り」の先にあるのは、もう会社を信じなくなった労働者が世の中に溢れることです。将来景気回復した時、会社への信頼感を持たない労働者が、現場の多数を占める状況がどんなことなのか、企業としてよく考えるべきです。今までお互いの信頼関係の中で処理できていたことが立ち行かなくなり、現場の生産性が思うように上がらず、競争力を失っていく・・・、結局自分たちに返ってくるのです。
ステークホルダーに対してどうあるべきか、今一度考え直す必要があるのではないかと思います。
次回は1月12日(月)から再開します。どうぞ良いお年をお迎え下さい。
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