小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「報告をしない部下」のいくつかの原因」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
ユニティ・サポート 代表
Q&A回答への評価:
4.7/75件
サービス:4件
Q&A:193件
コラム:842件
写真:0件
お気軽にお問い合わせください
03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

「報告をしない部下」のいくつかの原因

- good

社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2015-11-03 08:00

 「部下がちゃんと報告してこない」という話を、いろいろな会社のマネージャーの方々から聞くことがあります。

 

 大きく分けると、「報告すること自体を忘れている」ということと、「あえて報告することを避けている」ということの二通りがあるようです。

 

 「報告を忘れている」という人に聞くと、本人は本当に失念していて、ものすごく反省していたりするので、特に悪気は無さそうです。

 忘れてしまうということは、物事の優先順位の捉え方に問題があったり、記憶力自体が不足していたりということなので、基礎能力に近い部分が原因ということになります。

 

 これに対して「あえて報告することを避けている」というのは、ある意味確信犯ということです。

 自分たちの立場ではどうしてもやらなければならない、それが間違っていないという確信があるような場合に、もし報告すれば確実に反対される、計画が実行できなくなるとなれば、あえて上司には知らせずに、自分たちで物事を進めてしまおうという気持ちもわからなくはありません。

 

 また、必ずしも上司の判断が正しいとは限らないと考えれば、上司からの指示命令に自ら優先順位をつけて、「適度なやり過ごし」を行うことが、組織の強さにつながるという話もあります。あえて報告を避けるようなやり過ごしも、組織の中である程度は必要ということになります。

 

 ただ、私がよく聞く内容は、どうもこれとは少し違う場合が多いように感じます。

 それは「不備やミスを隠す」「自分に不都合なことを言わない」というような、言いづらいことを伏せていたり先延ばししているような内容が多いということです。

 

 以前、修学旅行のバス手配を忘れ、旅行を中止させようと学校に自殺予告の電話をした旅行会社社員の話題がありましたが、これほどひどくはなくても、根本の心理としては似ているように感じます。

 

 私が、この手の「あえて報告することを避けている」という人たちに共通して感じるのは、その方法が口頭であっても文書であっても、自分が考えていることを相手に整理して伝えることが得意でないということです。要は「報告すること自体が苦手」で、苦手なことは避けようとしてしまうということです。

 

 報告がないことを上司から指摘された時、忘れていたと言いながら反省の様子があまり無い、理由も言わずに一方的に謝るだけ、理屈が通らないような言い訳、逆ギレのようにふてくされるなどという感情的な反応は、だいたいがこの「報告が苦手」という理由ではないかと思われます。

 

 こうなると、「報告を避ける」という原因は、コミュニケーション能力や論理性の問題ということになり、どちらも基礎能力に近い部分の問題ということになります。これは「報告を忘れている」場合と同じです。

 「あえて報告することを避けている」という行動には、優秀な部下の自律的な判断の場合と、基礎能力の不足による場合の両方があるということです。

 

 このように、「報告をしない部下」の多くは、基礎能力に原因ありということになりますが、中には優秀さゆえに自己主張の場合があります。これには、部下が進んで報告したくなるような上司としての対応を意識することも必要になります。

 

 もう言い尽くされたことかもしれませんが、「聴く耳をしっかり持つ」「頭ごなしに否定しない」「一方的に言いくるめようとしない」などということが、上司として必要な行動になるのではないかと思います。

カテゴリ 「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム

カテゴリ このコラムに関連するサービス

対面相談 【対面】「活気がない」「やる気が出ない」職場活性化を考える

当事者では気づきづらい組織風土の問題をアドバイス。同テーマ商品の対面相談版です。

料金
6,000円

「今一つ元気がない」「何となく一体感がない」など、職場の風土や雰囲気に関する悩みについては、当事者しかわからない事情とともに、当事者であるために気づきづらい事もあります。これまでのコンサルティングで、活気を維持する、活気を失う、活気を取り戻す、という様々な事例、プロセスを見た経験から、会社状況に合わせた原因分析、対策をアドバイスします。(同テーマのメール相談を、より詳細に行うための対面相談です)

【対面】「活気がない」「やる気が出ない」職場活性化を考える
プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム