小笠原 隆夫
オガサワラ タカオちょっとの一工夫で「仕方がない」を前向きに変わるかもしれない
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これは、あるラーメン店で、最近私が経験したお話です。
カウンターが10席ほど、4人掛けのテーブルが4つほどの広さで、それなりに人気もあってときどき表に行列ができるようなお店です。
お昼時は当然お店も混んでいて、ほぼ満席の状態です、テーブル席は、常にいろんなグループのお客さんたちが相席しています。
そこでちょっと感心したことがありました。
店員さんが、「相席にご協力頂いているので、トッピングを一品サービスします」と言って、テーブル席に座るお客さんたちに注文を聞いていたのです。
昼食時の相席などは、どこのお店でもあるもので、イヤとかダメとか言って断っている人は、あまり見たことがありませんが、では相席がうれしいかと言われれば、それはそうではないと思います。「別に気にしない」という程度がせいぜいでしょう。
本音を言えば、あまりうれしくはないけど、混む時間帯だし、お互い協力した方が良いだろうということで、「まぁ仕方がない」と思っているのだと思います。
ただ、このお店のように、ちょっとしたサービスをするように工夫しただけで、感じ方はずいぶん変わります。場合によっては「ぜひ相席したい」なんて言う人が出てくるかもしれません。
これは少し違う例ですが、みんなが静かに勉強でもしているような中で、急に大きな音を立てられたら、ほぼ全員が「ああ、うるさい!」と不快な気分になると思います。しかし、例えばここで、「大きな音を立てる人がいたら、その場の全員が500円もらえる」という前提があったとしたらどうでしょうか。大きな音を立てる人が出てくるのを、意外に楽しみに待ったりするようになります。
このように、人は自分の周りで起こった事象について、初めに必ず、「それが自分にとって快か不快か」という感情で受けとめます。その受けとめはあくまで感情なので、ちょっと異なる前提が加わると正反対に変わることがあります。
会社の中であれば、イヤなことだけど、良いとは思わないけど、でも「仕方がない」と無理やり納得しているようなことがたくさんあると思います。
ただ、この「仕方がない」という感情であったとしても、受けとめが変わるちょっとした一工夫があれば、気持ちが前向きに変えられることもあるかもしれないというのが、今回たまたま目にしたことを通して思ったことです。
「仕方がない」といって思考停止に陥らず、自分たちでもちょっと一工夫を試してみてはいかがでしょうか。
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