小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「好奇心不足」と感じたある風景
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同じ会社や友人同士のグループなのに、お互いにほとんど会話をしない様子を見受けることがあります。こういうことが増えてきたと感じるようになったのはずいぶん前からです。
具体的には、昼食時のお店で見かけるグループや、ちょっと休憩でカフェなどに立ち寄っているようなグループを見ていてのことで、お互いにほとんど会話をしないで携帯やスマホをいじっている、雑誌やマンガを読んでいるというような光景です。
全然会話をしないので、「あれ? 知り合いじゃないのかな?」と思っていると、お互いに目配せして一緒に席を立っていくので、仲間同士には間違いありません。
今さら始まったことではありませんが、こんな様子を一言で言えば「周囲への関心」が薄いということです。公園にみんなで集まっているのに無言でゲームをしている子供たちが結構いますが、これも同じ感じがします。電車内や公共の場でのマイペース行動なども、周囲の目をあまり気にしていないということなので、基本は同じなのかもしれません。
「周囲への関心」は、「好奇心」の一種ともいえます。どちらも日常生活や仕事上の課題、テーマを見つける上では、その源泉ともいえることです。これが欠けていると、特にビジネス上では「問題意識がない」とか「ニーズがつかめない」などという大きなことばかりでなく、日常のちょっとした行動にも多々影響があります。
例えば、人と一緒にいても会話しないことが普通の感覚になっているので、これから関係づくりをしようというお客様相手に、いざ世間話などをしようにも話題が見つけられません。相手の様子をあまり観察しないために、言われて初めて気づくなど、往々にして“気が利かない”などと言われてしまいます。自分ではテーマが見つけらないということで、結果として自律的には動けません。
もちろんこういうタイプの人は昔からいましたが、やはり少しずつ増えているような気がします。
最近、定期的な「ランチミーティング」を義務づけている会社があるという話を聞きました。大きなお世話ではないかと思ってしまいますが、仮に一緒に食事に行っても、本人たちのなりゆきに任せると、お互いほとんど話さなかったりする訳ですから、こんな取り組みで強制することも必要なのかもしれません。
特にコミュニケーションのように、今までは自然に任せていれば徐々に身についていたことが、それではなかなかうまく行きづらくなってきています。「周囲への関心」「好奇心」が薄いので、本人の意識だけではなかなか気づきません。
コミュニケーションの取り方など、今まで自然に任せていたことも、それらを意図的にやらせる工夫がますます必要になってきているように思います。
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