小笠原 隆夫
オガサワラ タカオスキルアップは誰の責任?
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先日、あるフォーラムでIT業界の人材育成に関するお話をうかがいました。
中でも印象に残ったのは、ある調査の結果で「業務時間外に自主的に勉強を行っている技術知識等は?」との質問に「業務時間以外に自主的に勉強することはあまりない」と回答した割合が、20代でやや高くなっていたそうです。「自主的に学ばない若手」という傾向があるのだそうです。
一方、企業側に「年間総人件費に対する教育研修費の割合」を尋ねた結果、「0%」(教育研修費を支出していない)と回答した企業が21%、「0.1~1%未満」は16.6%だったとのことで、年間の総研修時間についても同じような傾向だったそうです。「企業の学ばせる力が弱い」ということでした。
IT業界は技術者比率が圧倒的に高く、技術進歩も速いので、学んで身につけなければならないことがとても多い業界ですが、この状況は良いことではありません。
どうも、会社側は「スキルアップは本人が自発的に行うべき」と考え、社員の側は「会社がもっとスキルアップを支援すべき」と考えているようです。
どちらの言い分も、それぞれ理解できる部分はあります。
会社にとっては、“教育は投資”であり、本人にその気がなければいくら投資しても無駄ですから、そんなことはしたくないと考えるのが当然です。
逆に社員からすれば、「どんなスキルが必要か自分で考えろ」「勉強するのは自分の責任だ」などといわれても、何の方向性も示されないままでは、いったい自分が何をしたらよいのかわからないでしょうし、それではなかなか行動には移せないでしょう。
会社と社員それぞれのWin-WInを考えるなら、教育投資をきちんとすれば、会社には中長期的には業績となって返ってくるし、本人が自発的にスキルアップに取り組めば、自分自身の人材価値を上げることにつながります。お互い相手のせいにせず、協力し合わなければ始まりません。
どんな仕事でも、学ぶことをやめたら終わりです。最後は結局自分に返ってきます。“誰の責任”などと言っている場合ではないと思うのですが・・・。
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