小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ心に響いた「信頼の貯金」の話
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あるテレビ番組を見ていて、その中で語られていた「信頼の貯金」の話が、とても心に響きました。
ご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、「ホテル・ルワンダ」という映画のモデルで、ルワンダで勃発した民族間の虐殺の中で、多くの難民を自分が働いていたホテルにかくまって命を救ったホテル支配人、ポール・ルセサバギナさんがおっしゃっていたことです。
生きるか死ぬかの極限状況の中で、結局自分たちの命が助かったのは、長い時間をかけて、少しずつ貯めてきた「信頼の貯金」のおかげだったとおっしゃっていました。
それまでホテルマンとしていろいろな人とお酒を酌み交わし、できる限りいろんな話をして、それが少しずつ「信頼の貯金」となっていて、最後に助けてくれたのは、それまでずっと交流してきてお互いを知りあっていた敵にあたる政府軍の司令官だったそうです。
また、途中自分たちを殺しに乗り込んできた軍人にも、ホテルのお客と同じようにお酒をふるまい、フレンドリーに話をしたそうです。「自分にお酒をふるまって、笑顔で話しかけてくる人をその場で殺そうとは思わないはずだから」とおっしゃっていました。
こんな壮絶な生死にかかわるような壮絶な体験ではないにしても、私たちも「信頼の貯金」の中で動いていることがたくさんあると思います。仕事でも遊びでも、会社、家庭、地域、その他すべての人間関係の中で、まったく同じではないかと思います。
自分の仕事でいえば、まず私個人を信頼して頂けないことには何も始まらないので、なおさらそう感じます。
「信頼の貯金」の中身は本当に小さなことで、
・時間を守る。
・約束を守る。
・嘘をつかない
・真摯な対応
・相手の立場の尊重
・感謝、敬意、
・相手への貢献
・一方的な見返りを求めない
など、当たり前といわれることの積み重ねだろうと思います。
きっと、すぐに形にはならないでしょうし、一朝一夕に増えていくものでもないでしょうが、長期的には有形無形の大きな資産となり、いろいろな形で返ってくるのだろうと思います。自分の生活は楽しくなり、周りの仲間は増え、仕事もやりやすくなっていくでしょう。
一円か、もしくは何銭かのわずかなお金を少しずつ積み重ねていくようなつもりで、日々の小さな行動を良くしていけば、「信頼の貯金」の残高は、きっと増えていくはずです。
「信頼の貯金」を少しでも多く貯められるように、日々の振る舞いを大事にできるようになりたいと、あらためて思いました。
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