上津原 章
ウエツハラ アキラグループ
先進医療はずっとそのままではない~多焦点レンズ~
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メールを確認していると、白内障治療で多く行われる多焦点眼内レンズを入れる手術が、4月から厚生労働省の指定した先進医療ではなくなるといった記事がありました。
先進医療は、
将来公的健康保険が適用される可能性があるものが選定されます。効果があるかどうかを検証し、効果があるものは公的健康保険が適用される医療になります。例えば、下肢静脈瘤のレーザー焼灼(しょうしゃく)術は、多くの医療機関によって行われ、効果が認められることから公的健康保険が適用されるようになりました。その反面、効果がかかった費用に合わない等の理由で、国が認めないと全額自費の治療法になることもあります。
眼内レンズには、
単焦点と多焦点とがあります。近くのものだけ、または遠くのものだけがよく見えるようにするのが単焦点レンズです。これに対し、遠くのものも近くのものも快適に見えるようにするのが多焦点レンズです。 次に、お金の面から眼内レンズを比較します。(令和2年1月30日現在)
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公的健康保険適用 |
民間医療保険の給付 |
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単焦点レンズ |
あり |
手術給付金 |
|
多焦点 レンズ |
先進医療対象 |
一部あり(検査料等) |
先進医療給付金等 |
その他 |
なし(全額自費) |
手術給付金 |
多焦点レンズを使った手術は、
平成30年7月からの1年間で先進医療対象のものだけでも33,868件、883か所の医療機関で実施されています。医療費は1件当たり約67.8万円です。(厚生労働省第81回先進医療会議の資料より)
「多焦点レンズもいろいろな医療機関が手掛けているので、いずれ先進医療ではなくなるのでは?」
と私自身感じていました。私が思うに、多焦点レンズはメガネを使う機会が減るなど患者の生活の質を高める点では有効ですが、白内障を改善することでは単焦点レンズと大きな差がないのでしょう。
多焦点レンズは4月1日より選定医療になり、
国が決定した金額までが公的健康保険適用、上回る部分が自費になる見込みです。選定医療にすることで医療機関同士の価格競争が進み、患者の経済的負担が減るのではといった思いが国にはあるようです。
先進医療特約は、
国が選定する先進医療が変わることから、加入してからも保障される内容が変わります。特約を加入しっぱなしにするのではなく、どのようなものが先進医療になっているかを確認したいですね。
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