鈴木 宏幸(建築家)- コラム「軽井沢Sさんの家づくり 『内断熱?外断熱?』」 - 専門家プロファイル

鈴木 宏幸
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鈴木 宏幸

スズキ ヒロユキ
( 建築家 )
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軽井沢Sさんの家づくり 『内断熱?外断熱?』

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家づくりのプロセス 軽井沢Sさんの家づくり 2010-01-09 08:00
【家づくりのプロセス】vol.9

『内断熱?外断熱?』

最近のコマーシャルでは「外断熱」一辺倒ですが・・ (;^_^A

内断熱、外断熱と言った場合には、
鉄筋コンクリート造(以下、RC造)のような蓄熱性の高いものに使います。
コンクリートは蓄熱性が高い一方、断熱性は低く、木材の1/10と言われています。
つまり、温まりにくく、冷めにくい・・こいいう性質をもつコンクリートでは、
建物の外側をすっぽりと覆うことのできる「外断熱」が圧倒的に有効です。

木造では柱間に断熱材を充填する「充填断熱」、柱の外側に断熱材を張る「外張り断熱」と呼ばれ、その差はぐんと小さくなります。

「どちらがよくて、どちらがダメ」ということではありませんので、
建て主のかたのご要望、地域やご予算によって、そのときどきで最良の選択していくことを心がけています。

むしろ、両者を合わせたスタイルを考えていくこともあります。


Sさんの家では・・


Sさんはできるだけ自然素材を使いたいというご要望。
これは「ゴミにしない」建築をつくることでもありました。

断熱材にも自然系の素材をということで、サーモウールやフォレストボードをご提案しています。


サーモウールは文字通り羊毛を主材としていますので、もちろんサスティナブルな素材ですし、
フォレストボードも今まで捨てるだけで処理に困っていた樹皮を固めたものですので、
「ゴミにしない」というコンセプトにも最適でした。

サーモウールを柱間に充填、外側にフォレストボードを張る二重断熱?にしています。
柱の外側にフォレストボードでつつみこむことで、気密性も高くなりますし、
サーモウールが充填されることで、フォレストボードの厚みも押さえることができ、
しっかりと外壁を留めることもできます。
*断熱材にはビスがききませんので、外張り断熱ではビスの長さなど外壁に留め方に気を使う必要があります

写真:こげ茶のところがフォレストボードです。
床にも同じように張っています。
基礎はスタイロですけど・・(青い部分)


こうした選択は寒冷地であるということだけでなく、
湿度の高いエリアということもあり、
特に外側に張る断熱材に調湿性のあるものを使いたかったためでもあります。

これによって構造材である木も、その呼吸を止めることなく、
サーモウールとともに吸ったりはいたり・・
その外側にある通気層に放湿してくれることを期待しています。


二重断熱?は「薪ストーブ1台で」という暖房設備への配慮も大きいところです。
Sさんの家は寒冷地ですので、こうした断熱方法を選択しましたが、
温かい地域ではまた違ってきます。

どの地域でも断熱性が高いに越したことはありませんが、
過剰になっても費用がかさむだけですので、その都度いろいろ考えていくことになるのでしょうね。


例えば、温暖な地域では夏場、冷房による室内からの影響で起こる内部結露などもありますし・・


【 家づくりの極意 vol.9 】
内とか、外とか言う前に・・両方のよさを今一度見直すべし!


次回は、『薪ストーブ!』
薪ストーブ・・まずはレイアウト!どこに置こうかなぁ〜


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