対象:新築工事・施工
住宅建設用地として購入を検討している土地の擁壁に問題があります。
検討物件は擁壁の上側で、下側との間にある擁壁は高さ1.8メートルの大谷石、改修が必要です。但し、擁壁に負担が掛からないように擁壁から離れて家を建てるのであれば、必ずしもやり直しをしなくても良いというのが行政の判断です。
物件の土地は、擁壁に接した部分が傾斜(法地)になっており、土地の一番高いところまで擁壁をやり直すと、擁壁は3メートルになります。
資金的に厳しいので、工務店からの最初の提案は、擁壁から離して家を建てればよいというものでした。しかし、法地になっている部分の土砂が下側の家に流れ出て、隣家とのトラブルになることは避けたいので何とかしたいと申し出たところ、2メートル未満の間知+傾斜部分を若干平らにして芝生を植える、という提案をうけています。
質問1:3メートルの擁壁を作り直すことがベストであるということは分かっていますが、費用的に無理である場合、上記のような方法でも今後の生活に支障はないのでしょうか。現在擁壁がある家に住んでいる方々は、一般的にはどうなのでしょうか。
質問2:3メートルの擁壁とした場合、間知はRCと比較した場合、安全面でどうなのでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
SwedenHouseさん ( 神奈川県 / 女性 / 50歳 )
回答:4件
地盤調査はしましたでしょうか
擁壁のある敷地は、往々にして盛土がしてあり家を建てるには
地盤が弱いことがほとんどです。
地盤調査をした結果、地盤が弱いとなれば地盤改良の必要があります。
地盤改良には、柱状改良という方法が一般的です。
これは、地盤をスクリューのような機械でグリグリ掘って、土とセメントを
混ぜた柱状の改良体を地中に作ります。
擁壁の下部から35°の線(行政によって角度は違いますが)以下にその改良体
がきていれば、擁壁に負担がかからないので家は建てられます。
地盤改良の値段は、擁壁を造るよりは安いです。
そうすれば擁壁から大きく離さなくても建てられます。
隣地に土が流れそうな場所は緑化すればいいと思います。
地盤調査は今は必須です。もし弱くなくてもそうした方法が現状を打破する
のに有効であればやってもいいのではと思います。
評価・お礼
SwedenHouseさん
ご回答有難うございます。地盤調査は、購入前には出来ないと伺っているので、今はまだしておりません。費用面で目鼻がつかなければ購入を諦めるしかないのですが、購入することになれば地盤調査はきちんとするつもりです。
回答専門家
- 小松原 敬
- (神奈川県 / 建築家)
- 一級建築士事務所 オフィス・アースワークス 代表
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伴場 吉之
建築家
2
許容できる法まで、擁壁を積み+深基礎で、平面・断面設計で敷地レベルを調整
>2メートル未満の間知+傾斜部分を若干平らにして芝生を植える、という提案
経済的で効率的な提案だと思います。
高さ1m強の傾斜部は、平らな部分は減りますが、そのまま、植栽や階段で高さを吸収しても構いません。
逆に、崖側の建物基礎を深くして、基礎の費用は、かかりますが、平らな部分を造り、敷地を有効利用するのも一案です。平面、断面計画を十分にすれば、面白い建物が出来ます。
究極なのは下の敷地のレベルまで、建物または基礎を深くすれは、擁壁は不要で建物は有効に建てられます。よく言われた、崖地マンションの論理です。基準法は地下ですが、採光があり、容積率も地下緩和が使え、効率的です。ただ、防水や構造など、技術的にはレベルが上がり、コンクリート造なので、小さな工務店やハウスメーカーでやる場合は、不得意な分野となり割高です。ただ、賃貸など、収益部分が出来、別予算が組めれば、住まいは逆に、強固で、快適です。
また、2m以下の擁壁は工作物申請がいりません。ただ、崖下の人にとっては、その擁壁が工作物申請なんどで、検査済を取っていれば、安全と認定され、崖際まで、コンクリート外壁なしで、建てられます。人のためだけにするのは、なかなか、ハードル高いですが、擁壁際まで、自分の敷地が、平らに使えると思えば一考です。
質問1:3メートルの擁壁を作り直すことがベスト、今後の生活に支障はないのでしょうか。一般的にはどうか。
埋め立て部分の沈下、水抜き、表面の土砂が流れないような配慮は必要です。そのへんを注意すれば、物理的に、高低差がある以外、支障はないです。
質問2:3メートルの擁壁、間知はRCと比較した場合、安全面でどう
擁壁なら、高さや土質による基準の断面構造、RCなら、構造計算に適合するば、安全面では、問題ないです。ただ、間知のほうが工事費は安いですが、角度があるので、土地の有効利用と言う点では、RCのほうが良いです。
出来れば、費用と時間がかかりますが、間知でもRCでも、2m以上の擁壁にし、工作物にしたほうが、役所の審査や完了時の検査があるので安心です。また、将来的にも、土地の価値は上がると思います。
補足
東京都の安全条例の第六条の二で
「擁壁の基礎の底部は、がけの下端を過ぎるこう配30度以内の良好な地盤に達しなければならない。」とあります。他の都府県でも同じだと思います。
例えば、横浜の場合、崖地が3mを超える場合、崖対象なので考慮が必要です。
横浜市建築基準条例の第3条(がけ)
http://www.city.yokohama.jp/me/reiki/honbun/ag20209061.html
を参照ください。
画像は以前、弊社で開発許可申請、設計、監理をした共同住宅です。
7m弱の高低差のある敷地を地盤設定を3つ設定し、開発許可を取りました。
費用はかかりましたが、土地的には有効利用し、快適な建物となりました。
参考になれば、幸いです。
評価・お礼
SwedenHouseさん
ご回答有難うございます。様々なケースについてお教え頂き有難うございます。
個人的にはやはり行政の申請承認がある方が良いと思っておりますが、いざ何か事故が起きても、行政は一切賠償などしてくれないので、その辺をどう考えるかに尽きると言われております。
伴場 吉之
評価ありがとうございます。
高い擁壁は威圧感があります。ただ、コストは高いが、平場が多く、土地は有効利用できます。低い擁壁や傾斜地は逆。ただ、植栽や建物の外壁や基礎で吸収する手もあります。間知の石垣のテイスト、RCの打ち放しのシンプルでモダンな感じ、擁壁、建物、植栽のボリュームや高さのバランスが大切となります。コストも関係するので、予算内で、概算を取りながら、計画する事をお勧めします。ある意味、計画力が問われます。ただ、設計者とする、腕の見せ所かもしれません。(笑) 今後の土地選びの参考になれば幸いです。
加藤 正樹
エクステリアコーディネーター
3
RCと間知につして
擁壁工事を多く手がけた経験からお話しします。少しでもご参考になれば幸いです。
文面から判断するとご検討の物件は宅地造成工事規制法(以下宅造法)の対象区域と思われます。簡単に言うと宅造規制区域では1メートルを超える盛土、2メートルを超える切り土 に対する擁壁(RC及び間知積み)工事は 役所に宅造法に基づく申請書を提出し許可を得なければ出来ません。検査に合格した擁壁には十分な信頼性が置けると考えて差し支えありません(大袈裟に言えば役所お墨付きです)。今回の工務店さんの提案は(費用節約上)規制に抵触しないように工夫した工法です。乱暴な言い方ですが擁壁の信頼性は工務店さん次第の面があります。
上記工法は安価ですが利用不可の土地面積がかなり大きくなります。間知の勾配を70度、法面(のりめん)を30度と仮定し計算したところ境界から約2.9メートル乖離します。境界線が20メートルとすると58平米となります。このロス面積をどのように解釈するかはお客様次第です。
以下の条件下でRC擁壁の施工金額を試算してみました。但し当然のことながら現場の状況で金額は変動します。
(1)名古屋市土木局仕様書内のL型擁壁
(2)掘削残土が場内に置けること
(3)隣地への矢板工事等の養生は不要
(4)工事範囲は20メートル、
大谷石撤去処分、申請費用を含めてメートル当たり15万円あれば十分可能です。
ご質問2について
申請をクリアする擁壁ならRC、間知(間知石又は間知ブロック)とも同じように安全です。個人的には後者の方が多少頑丈かなと思っています。ただRCより1.2メートル後退するのが難点かも知れません。
評価・お礼
SwedenHouseさん
ご回答有難うございます。頂いたアドバイスは、私どもの状況にぴったりで、とても納得のいく内容でした。本当に有難うございます。ただ費用の面では、いくつかの会社に見積りを取っているのですが、100万円からの差があります。安いと心配になりますし、高ければ高いでこちらの懐具合が苦しくなりますし、ぼられているのではとも思ってしまいます。その辺の見極めをどうすればよいのか、何かお知恵を頂けますと幸いです。
加藤 正樹
評価して頂きありがとうございます。
ご質問の件に関し私なりに考えてみました。見積金額の多寡はその会社の経営業態に左右されます。大手の施工会社ほど表現は悪いのですが「丸投げ」するので高くなり直営の会社ならその分安価となります。当然その中間形態も存在します。業態がどれかは一般の人には判断は困難でしょう。地元の評判を聞くか施工した現場を見せていただき出来れば住んでいる人に話を聞くのが一番確実でしょう。当該会社の現場を覗いた時、資材や重機、道具が整理整頓されていれば私なら高く評価します。
申請工事なら以下の方法が無難かと思われます。
見積もり打ち合わせ時に支払いとして中間検査(配筋検査)合格後に出来高を、最終検査合格後に残金を払うという契約を了承してくれる業者なら一応安心できるでしょう。
不明な点がありましたらお問い合わせ下さい。
(現在のポイント:5pt)
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